今季初スタメンの俊介が五回、2点二塁打。3二塁打、4打点と大暴れし、金本監督の起用に応えた(撮影・松永渉平) (セ・パ交流戦、ロッテ7-15阪神、1回戦、阪神1勝、30日、ゾゾマリン)日本生命セ・パ交流戦が開幕し、阪神は金本知憲監督(49)の采配がズバリ的中し、ロッテに逆転勝ち。今季初スクイズ成功で同点に追いついた後、打線が爆発し、今季初スタメンの俊介外野手(29)が3二塁打、4打点の大暴れ。敵地のロッテ戦は毎回乱戦となるが、交流戦球団最多の15得点を奪い、力で制した。
潮を含んだ風が肌にまとわりつく。貧打のロッテという前評判はどこにいったんだ。これが交流戦の怖さ。幕張ならではのドラマだ。殴り、殴られ、また殴り返した。交流戦球団史上最多の15得点でKO勝ち。金本監督は「風もあったしね」と控えめながら、まな弟子たちをたたえた。
「(先発が実績のある)石川ですから。だんだん調子を上げてきている投手かなと思っていたし、よく打ってくれました」
中盤までパの最下位ロッテにてこずったが、打つ手がことごとく当たった。1点差の四回には一死三塁から梅野にスクイズを指示。今季初の成功で同点に追いつくと昇格即スタメンで起用した広陵高の後輩が大暴れだ。10-7の六回二死満塁、「8番・中堅」で今季初先発の俊介が右腕・高野のフォークを鋭く振り抜き、三塁線を破った。
「結果を出したいだけで、全力でやりました」
二塁から鼻骨骨折の鳥谷もゆっくりと生還。リードを5点とした。四回には左中間二塁打、五回一死満塁でも左翼線に2点二塁打を放ち、3二塁打で自身初となる1試合4打点。4年ぶり自身6度目の猛打賞だ。2軍で打率・314と好調だった背番号68を起用した金本監督は「俊介といえば今まで人がいないときにスタメンだったりしたんですが」と笑いながら「パッと使って結果を出せるというのは成長したのかな」と目を細めた。
試合前にはサプライズがあった。「金本大監督おらんか?」。国鉄と巨人で歴代最多の400勝をあげた大投手、金田正一氏(83)が阪神ベンチを訪問。名球会の先輩の訪問に監督室から飛び出し、頭を下げた。金田氏はかわいい後輩を「健康優良児。いいチームになった。観客動員数をみても阪神がヘタをしたらダメ。(球界を引っ張るのは)すごくいいこと」と励ました。元ロッテ監督は阪神優勝の条件として「楽天みたいにお金をドーンと積んで外国人を獲ればいい」と緊急提言。大御所の心配をヨソに最終的にはダブルスコアの圧勝だ。
2005年の日本シリーズで大敗し、4連敗。昨季は5割からこのカードで3連敗を喫し、借金生活に転落した。苦い思い出が多い幕張だが、金本監督は「俺は大逆転したときのことが一番印象に残っているよ」と笑う。2007年6月16日。2-7だった九回に一挙9点で逆転し、幕張の奇跡と呼ばれたゲームだ。この日も俊介、梅野の8、9番で計7打点。猛打爆発の虎祭り-。プラス思考がドラマ再演の源泉だ。
福留、糸井、鳥谷と役者が仕事をし、脇役も穴を埋める以上の活躍をした。五回終了時に彩った花火のように。どっかんどっかん、最高のスタートや!! (阿部祐亮)
「もちろん準備はしていました」
★大好物ゆず胡椒
俊介は2015年3月末に結婚を発表した。今はトレーニングなども重なり、福岡県内の実家には年に1度程度しか帰ることができていないという。母・紀子さんによると、今年の年始に帰省した際に持って帰ったのが大好物のゆず胡椒。辛味で、実に食事が進むものだそうだ。山椒は小粒でもピリリと辛い。故郷の味とともに、チームにとって欠かせないワンピースになることを目指している。
◎…阪神が30日のロッテ戦(ZOZOマリン)で交流戦最多得点となる「15」。これまでは2014年6月8日のソフトバンク戦(甲子園)の「14」だった
◎…1試合15得点は14年8月5日のヤクルト戦(神宮)での20得点以来。ちなみに阪神の球団記録は10年8月25日の広島戦(京セラ)での「22」
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