糸井が飛んだ。リスクをおそれず、ヤフオクドームの人工芝に体を投げた。1月末に右膝関節炎が発覚してから、2カ月。まさに本能だった。
虎初のダイブが飛び出したのは2点ビハインドの四回一死二塁。鶴岡が右中間に放った打球に猛然とダッシュした。グラブにかすったか-。あと1歩届かず、右中間を破る適時三塁打となった。患部とは逆の左膝をグラウンドにたたきつける捨て身のプレーになったが、異変もリバウンドももなかった。
試合後の雑踏。本人はいたって冷静だった。報道陣の「執念をみせたダイビングだった」という問いに「エッ!?」と目をパチクリ。「順調か」と聞かれると「うん」とうなずいた。普通のプレーということだろうが、首脳陣は一様に白い歯をこぼした。
金本監督は「こわごわ、行っとったけどなぁ」とゲラゲラ笑いながら「ま、慣れてくるでしょう」と期待。中村外野守備走塁コーチは「みての通り、元気。飛び込むべき打球だった」と目を細めっぱなし。初めて試合で組んだ右翼・福留との呼吸はバッチリ。今後は左翼・高山との連係を深めていく。
この記事をシェアする