ブルペンで超速クイックを披露する青柳。昨季の課題が“武器”と化す(撮影・松永渉平) 阪神春季キャンプ(3日、沖縄・宜野座)阪神の2年目、青柳晃洋投手(23)がブルペンで超速クイックを披露した。昨季は1試合で4盗塁を許したこともあったが、完璧に修正! 巨人、広島、ヤクルトのスコアラー陣は弱点を克服されたことで頭を抱え、金本知憲監督(48)はニンマリとした。
体を沈め、静止する。小刻みに上下を連動させ、うなりを上げるような球を繰り出した。これがウワサの青柳のクイック投法。誰もがビックリ仰天の弱点克服だった。
「今は苦手のクイックを重点的にやれています。前は球威が落ちていた。(相手に)印象づけられたらいいな、と思いますし、少しでも脅威になればいいと思います」
88球のブルペン投球が後半にさしかかったころ、クイックを披露した。金本監督が目を光らせる中、走者なし、走者一塁などをイメージ。乾いたミット音を連発させた。
「(相手の盗塁)企図数が減ったら、(許)盗塁数も減りますから。0・9秒台もありました」
ルーキーイヤーの昨季は4勝5敗、防御率3・29。夏場にローテに定着したが、16度盗塁を企図され、そのうち許した盗塁は13。6月1日の楽天戦(コボスタ宮城)では1試合4盗塁を許すなど課題も露呈した。
その後、秋季キャンプからオフの台湾ウインターリーグにかけて特訓を重ねていたが、それを証明した形。開幕ローテの5番手として期待する金本監督は「1秒を切るようなスーパークイックをしても球威が全然落ちない。これは身体能力だよ、彼の」と大絶賛だ。
うれしそうに目を細める虎将とは対照的にライバル球団の007たちは一斉に頭を抱えていた。
巨人・吉原スコアラーは「トップクラス。さらに手強くなるという印象」と悲鳴をあげ、中日・佐藤スコアラーは「速くなっている。うちでいえば浅尾ぐらい速い」と眉根を寄せた。広島・玉山スコアラーは「うちの中崎も速いが、そのクラス」とストップウオッチをもつ手をふるわせた。
惜しげもなく進化した姿をみせたことこそ、自信の表れ。指揮官は対左打者(被打率・224。対右は・127)を克服するための内角球や落ちる球の精度を高めることさえできれば「楽に10勝はできる」と断言した。
「きょうは調子がよかったです。まとまっていたし、球速も落ちなかったことがよかったです」
肌を焦がすほどの日差しが照りつけた沖縄で青柳が胸を張った。(阿部祐亮)
「ブルペンでもランナーを意識してクイックしたり、長く持ったり、すごく考えて取り組んでいるので、こちら(捕手)としてはすごくありがたい。クイックでも球の質は変わらない。抑止力になってくれたら」
★将よりスカウト
随所で2年目の余裕!? を見せている。キャンプ初日もブルペン投球を金本監督が見つめていたが、感想を問われた右腕は笑いながら「担当の平塚スカウトがずっと見ていたので、そっちの方が緊張しましたね〜」。質問を冗談で交わす話術を初日から披露した。高知・安芸スタートだった1年目は、緊張の連続だったが「去年に比べたらスムーズですね」と初の沖縄で充実のキャンプを過ごしている。
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