■1月27日
「ゴールはケチャップみたいなもの。出ないときは出ないけど、出るときはドバドバ出る」。2012年サッカーW杯アジア最終予選のイラク戦で本田圭佑が発した言葉だ。軟らかい容器をイメージすると分かりづらいが、瓶詰なら強く振りすぎてドバッとケチャップが出るシーンが思い浮かぶ。
本田の発言後、日本がゴールを量産しているかどうかは差し控えるが、競馬ではドバドバとケチャップを出した人がいる。サトノの冠名で知られる里見治オーナー(75)=セガサミーホールディングス会長兼社長=だ。
潤沢な資金力を武器に高額な良血馬を何十頭も購入してきたが、サトノダイヤモンドで昨秋の菊花賞を制すまでGIは未勝利。ところが、馬主歴24年8カ月で悲願を果たすと、香港ヴァーズ(サトノクラウン)、朝日杯FS(サトノアレス)、有馬記念(サトノダイヤモンド)と、わずか2カ月の間に4つのGIタイトルを獲得した。まさにケチャップドバドバ状態。
大相撲にもケチャップドバドバが期待できる力士がいる。第72代横綱稀勢の里だ。新入幕から所要73場所、初土俵から所要89場所での優勝は、それぞれ史上2番目&4番目の遅さ。新大関から所要31場所の初優勝と、新入幕から所要73場所での横綱は昭和以降で最も遅い。過去5度の綱とりに失敗した無冠の大器が、ついにたどりついた頂点である。
横綱の責任という新たなプレッシャーは生まれるが、初優勝&綱とりという大きな重圧から解放された。来場所以降は、今以上に落ち着いた相撲が取れ、実力をいかんなく発揮するはず。体重175キロの体にたまりにたまったケチャップがドバドバ出てくる予感がする。 (鈴木学)
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