汗でTシャツをぬらした阿部(右)は、擬音を駆使しながら小林を熱心に指導した(撮影・谷川直之) 【グアム5日=谷川直之】巨人・阿部慎之助捕手(37)が、小林誠司捕手(27)との合同自主トレを開始した。初日から約5時間のハードメニューをこなす中、阿部は「ブァーンじゃなくてバンッ!!」などと長嶋茂雄終身名誉監督(80)のように擬音を駆使して、正捕手定着を目指す後輩に、熱血教育を施した。
蒸し暑いグアムで幕を開けた「阿部道場」でミスター語が飛び交った。打撃練習中、阿部が小林に声を掛けた。
「ブァ〜ンと振るんじゃなくて、インパクトを作ってバンッと球をつぶしにいかないと」
まるで、長嶋終身名誉監督のような口調だった。バットと球が当たる瞬間、スイングの強度を上げろという阿部の教えだ。初日から打って走って守って約5時間続いた猛練習。10歳下の小林とほぼ同じメニューをこなしながら、初めてマンツーマンで汗を流す弟子に助言を送り続けた。
さらに、テークバックで力がためられるように「ケツをペタッと投手に向ける」ともアドバイス。小林は指導された直後、外野に向かって打つティー打撃で柵越えを放つなど、効果はてきめんだった。
守備練習の最後には、自らノックバットを手に取り、小林に向かって15分間、ノックの雨を降らせた。腕を大きく使わず素早く投げるスナップスローの練習を促し「(手首を)ピョンと返すんだ」と、またしても擬音でコツを伝授した。
擬音を使いこなした指導といえば、長嶋終身名誉監督だ。巨人の監督時代は「ビューッときたらバーンと打つ」など独特の言葉で、大リーグでも活躍した松井秀喜氏らを育てた。長嶋監督最終年の2001年に新人だった阿部は、かつて受けた指導を思い出したかのように、強弱をつけた擬音でイメージを伝えた。
最後は豪雨のため、やむをえず練習終了となったが、正捕手定着を目指して丸刈り頭でグアム入りした小林は「初日からみっちりやることができました」と納得の表情。「あまり難しいことは言ってねえからな。続けていけば、進歩はある」という阿部が3年ぶりのリーグV奪回のため、ミスター流で惜しみなく技術を伝える。
★今年のグアムは万全!
阿部は2002年以降、グアムで自主トレを行ってきた。初めて1人で自主トレに臨んだ昨年は「ピロリ菌に感染して2週間、寝にいったようなものだった」と軽めの調整しかできなかったが今年は万全だ。巨人・朝井打撃投手をメンバーに加え、フリー打撃などで投手の前に置くL字型のネットを用意。今後、投手相手の実戦的な打撃練習も行うなど、早めの仕上げを目指す。
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