金本知憲監督(48)を迎え、激動の阪神2016年シーズンを取材した虎番記者が紙面に書けなかった(丸秘)メモを公開する「2016 トラ番マル秘事件簿」。第3回はミスタータイガースのこだわりとは。掛布雅之2軍監督(61)がサンスポの担当記者にお願いしたものとは…。
10月上旬のことだった。フェニックス・リーグ取材のために宮崎に出張していた虎番・新里公章のスマホが鳴った。「掛布雅之監督」という画面表示。背筋が自然と伸びた。
「悪いけどさ…。ユニクロにいって、パジャマを買ってきてくれないか?」
ホテルの自室にいた新里は直立不動でうなずいた。わかりました。それにしても一体どうしたんですか? とも聞いた。
「実はなぁ、俺、寝間着、1着しか持ってきてなかったんだよ。思っていた以上に暑くてねぇ」
パジャマを買ってくることに断る理由なんてないけど、監督、本当にユニクロでいいんですか?
そんなことを思いながら、いろいろと希望を聞くと、どうやら、お気に入りのものがあるらしい。やや薄手の長袖&長ズボン。上下セットで売っているはずだという。
「肌触りが最高にいいんだよ」
新里は取材ノートにペンを走らせ、自分のホテルを飛び出した。
ユニクロに到着。パジャマ売り場を見つけた。ところが…。もう、10月。厚手のものしか見当たらない。まずいぞ…。
脂汗が出てくる。すると、「SALE」と書かれたワゴンがあった。
ワラをもすがる思いで、手にとってみた。柄は黒のボーダー。丸首で首が絞まらないタイプで足首もゆったり。これなら、掛布監督の体でも…ゴホン…。価格は3000円ほど。これで本当に大丈夫かなぁ…という不安もあったが、とにかくレジに持っていった。
「これだよ!」
掛布監督の満面の笑みが忘れられない。ミスタータイガースがユニクロのパジャマにこれだけ喜んでくれるとは…。
数日後、再び、新里のスマホが鳴った。
「悪いけどさ…。アレをもう1着買ってきてくれよ」
現役時代、毎試合、新しいソックスを着用したり、掛布監督といえば、こだわりの人。新里はまたユニクロに走っていた。