サンスポ

【虎のソナタ】「オウ…」金本監督ウナらせた虎番

鳴尾浜で伊藤隼、西田(右から)に話しかける掛布2軍監督(左)。育成選手になる西田は、原口のようにはい上がってほしい

 夕方、当番デスクの大沢謙一郎がなんとか1面にたどり着こうと四苦八苦している時、編集局の窓際の「虎ソナ席」ではそれを横目でみてトラ番からの電話を待つのが日課なのだ。

 いうならば古い時代劇で空腹のガキをつれた男が通りすがりの人のソデにすがって「お願いですダ、旦那。助けると思って何か、何か…食うものをください…」という場面を想像していただきたい。ややあの場面に似ているんだ。

 ヒクツ? そりゃあ卑屈にもなりマス。

 それでひょぃっとテレビを見ましたら『東ロボくんが東大入試を受験したら合格できるか?』なんてのをやってた。あらゆることを暗記している人工頭脳だから東大の入試問題ぐらいお茶の子さいさいだろうと思っていたら…意外やこれがけっこうトンチンカン。つまり「雨が降れば濡れるから傘をさす」まではすぐわかるが、その傘が無い場合にどうするか? についてはやつらは四苦八苦するんだ。つまり雨宿りの概念がないのだ。ざまぁみろ! しかも答案用紙をめくれないから、そこは人間サマに手助けしてもらってた。

 と、そこに安芸から高瀬悟嗣が「あの…僕は金本監督をウナらせました!」と言ってきた。監督を思わず唸らせるとは何をやったんだ? といえばこうである。

 「練習が終わって監督の取材が始まったんですがそこはやたら蚊が多い場所でした。それで監督の隣にいた僕はサッサッと右手でその蚊を捕まえてギュッと握りつぶしたんです。すると監督が思わず『オウ…』と感嘆の声をあげた。そこでトラ番たちから『なにか監督賞でも…』という声にドドッと笑いがこぼれたんですよ。すると監督またニコッ…と」


 何をやってんだ。蚊取り線香の役なんかをやってないで…1面のドヒャッという話題をつかめ。すると高瀬は「いや、そろそろ糸井嘉男選手の答えがくるころなんですが…監督はボールを投げたわけですから、とにかく『待つ!』とズシリと言われてました」となってそこに焦点をあてた。

 14年前の2002年の阪神は星野仙一監督(現楽天副会長)でFA解禁直後に金本知憲は強引に「来い!」と誘われ、あまり時間を置かず、入団を快諾している。その即断即決のスピードからいえばいささか糸井の場合は「スローなブギ」の感じはするが…。

 岐路に立つ…といえば鳴尾浜では掛布2軍監督がこのほど「育成枠」になる西田直斗内野手(大阪桐蔭高)を熱血指導していた。取材した長友孝輔は「原口文仁(育成→1軍4番)のケースもありますから掛布監督の指導も熱がこもってました」という。藤浪晋太郎投手が初勝利した13年4月のDeNA(甲子園)の時には高校で1年先輩の西田にアイスクリームをおごってもらって「美味しかった…」と目を輝かせていたそうだ。今度は藤浪が西田の復活を激励する番だ。人生、それぞれに回り灯籠。

 -寒月に 水浅くして 川流る…(誓子)

©2026 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.