2人が描いた力強い軌道に、メラメラと闘争心を燃やしていたのが原口だ。4月に育成枠から支配下選手に再登録され、チーム最多の87試合でマスクをかぶると、勝負強い打撃でチームを何度も勝利に導いた。ただ、盗塁阻止率ではリーグワースト2位の・233と課題を残し、今キャンプでも古傷がある右肩の状態向上を目指しリハビリを行っていた。着実に肩周りを強化し、11月9日に行われた2度目の「スチール阻止」から参加。結果は「8企図4阻止」で阻止率・500だった。ボールが高くそれる場面も、握りかえでポロリと落とすシーンも2度あった。
「前からやっている2人(梅野と坂本)がいいだけに意識してしまった。ちょっと頑張らないと厳しいと思います…」
その日のコメントがこれだったが、最後のフレーズをそのまま受け止めた記者は、原稿に「危機感いっぱいだった」と記してしまった。それを受けて翌日、本人からクレームがあった。
「あの書き方だと、僕があきらめているみたいじゃないですか。もっと練習しなきゃ『厳しい』ってことです。しっかり練習しますから」
誰もあきらめていない。強肩でリードする梅野に坂本。そして捕手に復帰し、バットでも猛追する原口。安芸から始まった正妻争いに、秋季キャンプにも途中参加した小豆畑や、小宮山、岡崎といったメンバーも割って入ろうとする。チーム浮上の要は、間違いなくこの男たちだ。(長友孝輔)
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