阪神がFA宣言した糸井に強烈な殺し文句を用意していることが判明。超人のハートを揺さぶることができるか 阪神がオリックスから国内フリーエージェント(FA)権を行使した糸井嘉男外野手(35)との初交渉で殺し文句を準備したことが2日、分かった。「絶対的な力がほしい」「超変革を目指す金本監督の力になってほしい」-。虎の糸井誕生へ、超人のハートにストレートなメッセージを届ける。
運命の日が刻一刻と近づいている。オリックス残留か、それとも優勢とみられる阪神か-。FA交渉解禁日の11日にも糸井にアタックする阪神が、殺し文句を用意したことが明らかになった。
球団首脳の1人は「もちろん、金本監督の力も借りなければいけないが、球団としても誠意をみせることが必要。いろいろ考えていますよ」と話した。初対面で心に響く言葉をどれだけ投げかけることができるか。用意したのは強力な2つのメッセージだった。
【殺し文句(1)「絶対的な力がほしい」】 今季は優勝した広島と24・5ゲーム差の4位に終わった。シーズン終了後、球団幹部は金本監督と議論し、優勝するために何が足りないか-を検証。答えは「機動力を含めた攻撃力」だった。糸井は、虎の弱点を補ってあまりある存在だ。
今季143試合に出場し、打率・306、17本塁打、70打点。それよりも評価したのはリーグトップタイの53盗塁だ。阪神の今季の59盗塁はリーグワースト。投手には残留確実のメッセンジャーという柱が存在するが、野手の幹になれる絶対的な力に惚れ込んだことを訴える。
【殺し文句(2)「超変革を目指す金本監督の力になってほしい」】 四藤球団社長に加え、交渉に同席する金本監督を男にしてほしい-という思いをストレートに伝える。高山、北條ら若手が台頭してきたが、チーム改革はスタートしたばかり。「まだまだ優勝できる戦力ではない。福留とともに、金本監督をサポートしてほしい、という意味です」と球団首脳は説明した。
オリックスは今季年俸2億8000万円の糸井に対してすでに「4年契約総額18億円」という破格の条件を提示し、チームの顔を引き留めるのに必死。阪神は3年契約を軸に幅を持たせた提示をする構えだが、対応を迫られることになった。球団は8日にも電鉄本社首脳と会談の場を持ち、条件面について再検討する見通し。「交渉にのぞむとなれば、ウチもオリックスさんに負けない条件を提示しなければならない」と別の球団幹部。本社の全面支援を取り付けて初交渉に臨む。
2002年オフ、広島からFA宣言した金本が阪神入団を決意したのは、交渉に同席した星野監督(現楽天副会長)の「優勝するために必要。阪神を変えて優勝しよう」という熱烈ラブコールが効いた。金本監督は「あのときは、星野さんに圧倒されたんですわ」と振り返る。
翌03年シーズンは金本が「走攻」でチームをけん引して18年ぶりのリーグ制覇を果たした。02年から14年。糸井を当時の金本にダブらせる球団関係者は多い。虎を変えられる男-。超人よ鉄人になってくれ!! 球団を挙げて口説き落とす。
★清原和博(西武→巨人) 1996年オフ、吉田監督(当時)は清原に「タテジマをヨコジマにしてでも君がほしい」とラブコールするも思いは届かず、巨人へ移籍
★金本知憲(広島→阪神) 2002年オフ。星野監督は金本に「お前は阪神に来ることになっているんだから、迷うことはない」と口説き、獲得。翌年リーグ優勝に貢献した金本は「半ば脅迫でしたね」と述懐
★新井貴浩(広島→阪神) 07年オフ。沼沢球団本部長(当時)は「(FA宣言という)勇気ある決断をした君がほしい」と熱望し、獲得成功
★三浦大輔(横浜→残留) 08年オフ、沼沢球団本部長は「新しい甲子園(同オフ改修)のマウンドで集大成を見せてほしい」とメッセージを送ったが、三浦は熟考の末、残留
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