秋季練習で汗を流す岩崎。中継ぎでの武器として、新球フォークの習得を目指す(撮影・松永渉平) 阪神秋季練習(26日、甲子園)来季からリリーフに転向する阪神・岩崎優投手(25)が秋季練習最終日の26日、今オフの課題にフォークの習得を掲げた。この日、甲子園室内のブルペンで10球を試投。金本知憲監督(48)も「いま、一番期待している投手」と熱視線を送った。29日から行われる高知・安芸での秋季キャンプで完全習得を目指す。
ランチタイムを終えると、金本監督は甲子園室内のブルペンへ一直線に向かった。岩崎の投球を視察するためだ。報道陣は立ち入り禁止だったが、ボールがミットに吸い込まれる音とともに「うぉっ!」という声が響いてきた。
「あまりうまくいかなかったけど。きょうは42球投げて10球がフォークでした」
投球練習後、金本監督から声をかけられた。岩崎は「中継ぎになるという流れの中での話でしたね」と苦笑い。正式に通達されたわけではないからだが、先発からリリーフへの転向へ、すでに心の準備はできている。
24日まで行われた宮崎フェニックス・リーグ(秋季教育リーグ)では、すべてリリーフで8試合に登板して防御率0・00、自己最速タイの146キロをマーク。他球団の若い打者を相手にパワフルな投球も披露した。
過去3年は主に先発で通算11勝19敗、防御率3・54。岩崎の最大の武器は、左腕の出所が見にくいフォームからの130キロ後半の直球と切れ味鋭いスライダーだが、後半になるとスタミナ切れ。自分の長所を生かし切れなかったが、短いイニングなら勝負できる自信がある-。「(リリーフは)前に飛ばせない投球も必要。三振の取れる縦の変化球がほしい」。飛躍するためにフォークは欠かせない球種だった。
現状で、信頼のできるリリーフ左腕は高橋1人だけ。だから岩崎への期待も当然ふくらむ。金本監督は「ずっとプロ野球に入ってから先発でしょ。慣れもあるだろうし、どれだけなじんでくるか。いま、一番、期待している投手」と期待を込めた。
29日から高知・安芸で秋季キャンプが始まる。岩崎は「1クールに3日はブルペンで投げます。投げて(フォークを)覚えます」と気合十分。間違いなく、来季の金本虎の命運を握る男だ。(三木建次)
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