引退会見を終え、花束を受け取った阪神・鶴岡=西宮市の阪神球団事務所(撮影・松永渉平) 阪神・鶴岡一成捕手(39)が29日、西宮市内の球団事務所で会見し、今季限りで現役を引退することを発表した。横浜(現DeNA)、巨人、阪神と3球団でマスクをかぶったベテランは後輩にエール。原口文仁捕手(24)や坂本誠志郎捕手(22)ら若手に、レベルの高い競争を繰り広げることを願った。
置き土産は若虎への温かいエールだった。鶴岡は、21年間の現役生活にピリオドを打つきっかけとなった後輩たちへの期待を質問されると、ニコッと笑った。
「バチバチでやってくれたら、いいんじゃないでしょうか。今、ファームにいる捕手たちも黙っていないでしょうし、上(1軍)にいる3人(原口、坂本、梅野)もバチバチで。その方が面白いんじゃないかな」
セ・リーグ3球団を渡り歩き、ほとんどで控えだった。横浜では谷繁、巨人では阿部。DeNAにFA移籍した久保康の人的補償でやってきた阪神には、藤井がいた。
「その人たちをみて勉強することができて、また新しい気持ちになれたのはよかった。(試合に)出ていないときを一番大事にしていました」
いつか追いついて、追い越したい。懸命に練習して、研究した。それが21年も現役を続けられる原動力になった。だからこそ、若虎らにも激しい競争心を持って、日々を過してほしかった。
苦節のときを経て、昨季は藤浪の主戦捕手の座をつかんだ。「受けると手が腫れるし、ポテンシャルが高すぎて、僕が引っ張ってもらっていた。そういう投手に出会えてよかった」。だが、世代交代の波は容赦なく押し寄せてきた。
「1軍で戦力にならないと思ったら、引き際かなと思っていた。自分にとってはいい決断だったと思います」
岡崎の復活や原口の台頭で、今季の出場はわずか10試合。安打、打点ともに「0」だった。それでも表情は晴れやか。引退セレモニーは今季中ではなく、ファン感謝デーなどオフ期間に行われる。最後のメッセージは、必ずやナインに届くはずだ。 (阿部祐亮)
「寂しいですね。お疲れさまでした。21年間ですか。すごいですね(自身は15年目)」
「何事にも全力でプレーされていたところが印象的でした。21年間、お疲れさまでした」
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