九回二死から中前打を放った福留。遅すぎた快音に、自らに怒りをにじませた(撮影・山田喜貴) (セ・パ交流戦、阪神1-5オリックス、2回戦、1勝1敗、15日、甲子園)打たんと話にならん!! 阪神はオリックス相手に、わずか3安打で逆転負けを喫した。福留孝介外野手(39)は九回二死から中前打で、日米通算2000安打まで「8」としたが、「点を取らないと話にならない」。11試合本塁打がなく、借金も今季ワーストタイ「4」で交流戦の勝ち越しもなくなった。
虎党は梅雨空のようにジメジメした打線を見せつけられた。最後の最後に意地をみせたのは福留。試合の行方がほぼ決まった1-5の九回二死。中前打を放って、日米通算2000安打まであと「8」とした。
「(自身が安打を放っても)チームが勝たないと意味がないよ。青柳が頑張っているんだから、野手として点を取らないと話にならない」
試合後、自らに怒りをぶつけるように言いきった。150キロ超の直球にフォークの緩急を付ける守護神・平野にファウルで食らいつき、8球目のフォークを一閃。打球が二遊間を破ると、安打数表示板「フクドメーター」が目に入る右翼スタンドがドバッと沸いたが…。
チーム防御率4・53でパ・リーグ最下位のオリックス投手陣の前に、本拠地でわずか3安打。快音を響かせたのは今季初スタメンの中谷、四回に先制に絡んだゴメス、そして最後の福留。唯一の得点は四回の新井の先制の右犠飛だけだ。六回に代打・モレルに右前適時打で同点に追いつかれると、反発力は残っていなかった。
「3安打じゃ、どうしようもないわね。打つ方が打たないと景気がつかないし。若い子も含めてもっと能力があると思うんでね。それをうまく…力みとか配球とかあるんかなと思ったり」
逆転負けに金本監督も嘆いた。好機での決定力不足も目立つが、象徴的なのがノーアーチ。6月3日の西武戦(甲子園)から11試合本塁打が出ていない。指揮官も「しばらく出てないんかね、本塁打が」と記憶をたどるほど。福留も5月26日のヤクルト戦(神宮)以来一発から遠ざかる。
交流戦でのチーム本塁打は、開幕カードの楽天戦での狩野と鳥谷の2本。この日、オリックスも八回にT-岡田が勝ち越し弾を放ち、他球場でも初回先頭打者弾、サヨナラ弾など計10本のアーチが飛び交う中、あまりにも寂しい状況だ。
片岡打撃コーチも「ヒット3本じゃ、どうしようもないよ」。4月22日を最後に2桁得点はなく、6月2日以降連勝もない。ペナントのカギを握る交流戦は5勝9敗。4戦を残して勝ち越しがなくなった。関西ダービーで1勝1敗、計3得点。指揮官は苦笑いで誤算を認めざるを得なかった。
「そりゃ、そうですよ。そりゃ、勝ちたいよ」
借金は再び今季ワーストタイの「4」。今の虎に本塁打を打てというのは酷かもしれないが、分厚い雲をスカッと吹き飛ばす一撃が何よりもほしい。 (柏村翔)
◎…阪神の3安打以下は4月9日の広島戦(甲子園、●2-6)の2安打、5月11日の巨人戦(甲子園、●1-3)、同31日の楽天戦(コボスタ、●1-9)の3安打に続き、今季4度目で4戦全敗
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