原口は六回、一時同点となる適時二塁打を放つ(撮影・永田直也) (セ・パ交流戦、阪神2-3西武=延長十二回、3回戦、西武2勝1敗、5日、甲子園)元気な打球とともに、原口がスタメンに帰ってきた。一時同点とする会心打に、二塁上からベンチへ向けて両手のこぶしを握った。休みを挟み、打棒が復活だ。
「高山が(直前に)四球で出塁したので、甘い球でストライクを取りに来たら打ちにいくつもりでした。初球から思い切っていけました」
1-2の六回二死一塁。西武の先発・野上が、四球を出した直後だった。ストライクをほしがりがちな場面…と捕手らしく読んだ。真ん中に入った初球139キロ直球を鮮やかにとらえ、振り出しに戻した。
反省があった。1-1の一回二死一、三塁では空振り三振。四回一死一塁では捕邪飛に倒れた。「そこまで2打席は強引になりすぎたので、風を意識して打ちました。(風が右翼方向へ吹くなかで)引っかかって向こう(左中間)へ行ってくれた」。コンパクトにとらえて久々の快音。打点も長打も5号本塁打を放った5月28日の巨人戦(東京D)以来22打席ぶりだった。
白星が一番ほしかったが、結果もほしかった。前日4日の同戦は、5月1日以来27試合ぶりに先発マスクを岡崎に譲った。金本監督は「2軍でずっと出続けた経験もない。ケアする意味でも積極的に休ませました」と配慮を明かしたが、背番号94としては、攻守で精彩を欠き続けるわけにはいかなかった。
疲労がないといえばウソになる。だが、この疲れこそ待ち望んでいたものだ。朝、目が覚めるたび腰痛が再発していないかおびえ、野球すらできなかった時期を経験した。でも今は1軍で、捕手ができている。
映画館でポップコーンを買い、スクリーンの前に座るのが休日の楽しみだったが封印している。「見たい映画の上映時間が3時間くらいあって、(座りっぱなしで)あまり腰を酷使してもいけないので」と苦笑いする。すべてを野球にささげてきた。これからもそうだ。出た試合の数だけ、勉強とケアを積み重ねながら進んでいく。
「(1日休んだが)それは関係ないです」
力強く、前を向く。毎日、チームを勝ちに導きたい。改めて、原口はシンデレラストーリーの続きをつむぐ。 (長友孝輔)
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