大敗ムードに沈んでいた左翼席の虎党が、一気に沸いた。3年目の陽川が放ったプロ初安打に歓声が起こり、チャンステーマが鳴り響いた。完敗の中で灯した希望の光。気迫の一打で反撃ムードを作り出した。
「必死に食らいついていっただけです」
七回だ。目の前でゴメスが四球を選んで一死一塁。カウント1-2からの4球目。低めの変化球をとらえた。うまく左前へ運び、Hランプを灯した。3月25日の開幕戦(対中日、京セラD)でのD1位・高山俊外野手(明大)に続き、プロ初打席初安打をマーク。結果は0-6の完敗も、猛虎にとって、あすにつながる中身のある1敗になった。
北條と陽川を途中出場させ、五回の攻撃終了時にヘイグと西岡を下げた。野手8人中6人が20代になり、平均年齢は24・8歳。若虎に出番を与えた中で、指揮官が春キャンプから目をかけてきた2人が快音を響かせた。
「きょうは北條が速い真っすぐを打って、陽川が苦手な変化球を打って。その2つに関してはよかったところ。救われた…救われたと言ったらおかしいけど、俺の気持ちがね」と、金本監督は胸の内を明かした。