四藤球団社長(右)はウエスタン開幕戦の後、取材に応じてチーム内での金銭授受を説明する(撮影・森田達也) 阪神でも金銭授受が-。阪神・四藤慶一郎球団社長(55)は15日、2軍の開幕戦が行われていた鳴尾浜で会見し、巨人と同様に試合前の円陣で「声出し」した選手が、試合に勝った場合、他の選手からご祝儀という形で現金を得ていたことを明らかにした。セ・リーグは17日に緊急理事会を開き、公式戦開幕に向けた対応を協議。西武でも選手間での金銭授受が明らかになった。
巨人に続き阪神も…。午前11時半すぎ。ウエスタン開幕戦(対中日)を視察するため鳴尾浜を訪れた四藤球団社長が、衝撃の事実を公表した。
「巨人さん同様に円陣を組んだときの声出しした選手に、勝った場合に祝儀を出すというもの。3連勝したときに1人5000円、野手から徴収。4連勝すればさらに5000円ずつ祝儀を集めるというものでした」
前日14日に、巨人が「声出し」をめぐる金銭授受の事実を公表。それを受けて、阪神も現場サイドに確認した。マネジャーが各選手にヒアリングし、5年前の2011年から野手間で祝儀の受け渡しが行われていたことが判明した。
平均的な1軍登録メンバーは投手12人、野手16人。野手のみ参加で、3連勝すれば7万5000円(5000円×15人分。声出しした選手を除く)を得ることになる。4連勝なら1人1万円で15万円。昨季は3連勝が5度、4連勝が4度、6連勝が2度(重なる場合を除く)。15人分で6連勝なら30万円の計算になる。巨人では、負けた場合に声出しの選手が他の選手に1000円を渡していたが、阪神ではそれはなかった。
同社長は「みんなで盛り上がるといったことで行われていたと思うが半面、負の側面がある」と指摘した。
声出し役が一方的に現金を受け取るため、これは賭博罪にはならないとみられる。日本野球機構(NPB)も野球協約177条(不正行為)に該当しないと判断している。それでも臆測を呼びかねない行為とあって、巨人の野球賭博問題が発覚した昨年10月以降、NPBはコミッショナー通達で各球団に野球に関する金銭の授受を禁止している。
「今、倫理が問われている。賭博の芽になりかねないこと、野球に関して金銭のやりとりは一切やらないと現場に確認している。今後あったら許されない。襟を正した方がいい。皆で襟を正して賭博行為につながる行為をやめないといけない」
阪神は引き続き19日まで選手にヒアリングし、再発防止に努める。掛布2軍監督の初陣とあり、鳴尾浜には大勢の報道陣とファンが詰めかけていたが、さらに金銭授受の取材で多くのマスコミが押しかけ、同社長が試合後に改めて対応する緊急事態となった。
「いよいよ(シーズンが)始まるというところで残念ですが、とにかく襟を正してやっていきたい。(選手は)最高のプレーをして成績を出して報酬を稼ぐということ。再発しないように取り組んでいきたい」
巨人に続き阪神、西武も-。セ・リーグは17日に緊急理事会を開催する。大揺れの日本球界。失った信頼を回復させることは容易ではない。 (阿部祐亮)
「四藤(球団)社長が話したことがすべてです。それ以上、いうことはないです」
「今、初めて聞いた。(金銭授受で)励みになる部分もあったと思う。そこらへんの判断は難しいが、襟を正す上でそういうこと(問題)を出し切って、前を向かないといけない。プロ野球界全体のことだから」
★ノックミスで500円、貯金し食事会費に
阪神・四藤球団社長は「声出し」以外に、試合前のノックでミスをした選手に、選手間での罰金制度があったことを明かした。「(罰金は)ほとんどジュースですが、ジュースと現金。2014年だけは1回500円をシーズン中に貯金して、選手の食事会に充てていた」。球団は昨年10月に把握し、現場に禁止した。巨人では「ファンゴ」と呼ばれるポジション別のノックで、金銭のやり取りがあった。
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