甲子園で調整する藤浪。虎の1週間は、この男の完投から始まる(撮影・安部光翁) 頼むぞ、『火曜日の男』! 阪神・金本知憲監督(47)が、藤浪晋太郎投手(21)に29日のヤクルト戦(神宮)の先発を通達していたことが7日、分かった。ヤクルト、巨人と多く当たる裏ローテは超重要だが、指揮官が期待するのは、その完投力。チームの命運をかけて、6連戦の先陣を託す。
開幕投手より重要ともいえるポジションを、21歳に託す。チームに勢いをつける6連戦の初戦。勝利はもちろん、中継ぎ陣に2連休も与えてほしい-。こんなぜい沢な希望、金本監督も藤浪にだからこそ言えた。
「(週の)アタマにいかせたいからね、完投能力のある投手は。火曜に完投してくれたら、ありがたい。中継ぎが(月曜日を合わせて)2連休になれば、大きいから」
前日6日にメッセンジャーの開幕投手を公表。藤浪にも登板日を伝えたかを聞かれると「もちろん」とうなずいた。
今季初登板は、有力視されていた開幕2カード目の初戦、29日のヤクルト戦(神宮)だ。昨季の覇者に対し、昨季6試合で4勝0敗、防御率2・88。神宮で2戦2勝、防御率1・69を誇る。しかし相性以上に指揮官が期待するのが完投力。月曜日は試合がほとんどないだけに、火曜日の先発は、その後の5日間の戦力を大いに左右するわけだ。
伝え聞いた右腕も「普通に与えられた仕事ですから。何曜日でも完投する気です」と頼もしかった。昨季は両リーグトップの7完投、4完封。オフには10完投への意欲を語っていただけに、望むところだ。この日は、8日の西武戦に向けて甲子園で投手指名練習に参加。キャッチボールやショートダッシュで汗を流した。予定は5回。「実戦感覚ですね。変化球とか、もっとピッチングになるようにしたい」とテーマを話した。
「自分の投球的にはカットボールやスライダー系とフォーク(が中心)ですが、そこにカーブやチェンジアップ、ツーシームとか、余裕があればバランスよく使っていければ、投球の質は上がっていくと思う」
習得を目指すカーブなど緩い球を交えて組み立てができれば、投球の幅は大きく広がる。香田投手コーチも「変化球でカウントをとれれば、より長いイニングを投げられる」と期待。つまり、完投が増えるわけだ。
また昨秋に炎症を起こした右肩について、金本監督は「俺はそう(開幕から万全)思っているけど、投手の肩は怖いからね」とも。開幕後も当面は中6日は守る方向で、火曜日登板が続く。結果、交流戦前までヤクルト、巨人と3回ずつ(中日と2回、DeNAと1回)激突する計算。これほどの重責はない。
「完投数を増やしてほしい? もちろん。本人も望んでいるし、自分で言ってきたから。『若いんだからいけます』と。八、九回まで投げても、100球を超えても球威が落ちたことはないと。すごい頼もしいことを言ってくれたからね」と指揮官。藤浪が火曜日の男とした完投を重ねれば、夏場以降の失速という虎のジンクスは過去の話となる。 (堀啓介)
★森と対戦「楽しみたい」
8日の西武戦での注目が、藤浪と大阪桐蔭高の1年後輩、森との対戦だ。「オープン戦ですし楽しんでもいいかなと思う。公式戦では別ですが、ファンの方も楽しみにされているかもしれない」。昨年3月6日のオープン戦(甲子園)で初対戦し、157キロ連発で左飛。7月17日の球宴第1戦(東京D)でも一飛に仕留めた。「もちろん抑えにいきます。勝負ごとなので」と不敵に話す一方、途中出場でマスクを被る予定の森は「オープン戦なんで、特にないです」と淡々。
◎…藤浪は通算で9完投。初完投は2014年7月15日の中日戦(ナゴヤD)。昨季は両リーグ最多の7。最後に完投したのは9月28日の巨人戦(甲子園)。シーズン完投数の球団記録は若林忠志の39。
◎…今季、火曜日に予定されている阪神の試合は23。藤浪の火曜日の成績は通算12試合で5勝3敗、防御率2・98。
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