今キャンプ最多の110球を投げ込んだ球児。タイミングをずらす幻惑投法もみせた(撮影・森本幸一) 阪神春季キャンプ(9日、沖縄・宜野座村)阪神・藤川球児投手(35)がブルペンで今キャンプ最多の110球を投じた。ちょうど100球目に左足の着地を遅らせる幻惑投法を披露。これには中日・佐藤秀樹スコアラー(45)も「打者はじらされるだろう」とうなった。
みている側がつんのめりそうだった。岡崎がオヤッとした表情をみせ、投げた球児ですらボークかどうかを確認。第2クールを終え、充実した表情が何よりの手応えだった。
「まだ実戦が始まってないんでね。次のクールも頑張ります」
剛と柔をちりばめた圧巻のブルペン投球で第2クールを締めた。今キャンプ最多の110球。D2位・坂本誠志郎捕手(明大)を相手にカットボール、フォーク、シュートなどの変化球を組み合わせた。そしてコンビが岡崎にスイッチしていた100球目に衝撃が走った。高く上げた左足をテークバックと同時におろしてもなかなか地面につかないのだ。
速球がミットに吸い込まれると岡崎が目を丸くしながら叫んだ。
「今、タイミング、変えたでしょ!」
球児がニヤッとし、すぐに芦原審判に聞いた。
「今のボークじゃないですよね?」
芦原審判がウンウンとうなずき2段モーションではないことを示した。クレバーさが健在であることを証明。まさに幻惑投法。これには中日・佐藤スコアラーも警戒した。
「間合いを微妙に変えている。打者はじらされたりするだろう。一定のリズムで投げないし、捕手に意図を伝えてほぼその通り投げられている」
コンマ何秒の違いが明暗を分ける。それが野球。今季の先発構想に応えるべく新球・スライダー習得にも興味を示しており、日を追うたびに引き出しを増やしている。
香田投手コーチは初実戦の日については「目標は伝えている」。完全にモデルチェンジした先発球児を近い日にみられるかもしれない。 (阿部祐亮)
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