軽快な運動会のBGMが流れ、ファンは手を叩いて声援を送る。その前で選手が歯を食いしばって走り、バトンを渡すと次々と倒れ込む。この光景こそ厳しく明るく-。
「休みの前日だから」
金本監督が、昨秋キャンプで導入したリレー競争が第1クール最終日に行われた。外国人や福留らは除いたが、鳥谷や西岡には容赦なし。「まだ中堅でしょ。西岡なんて、まだ31歳。ベテランって言ったら怒るでしょ!」。開始前には、およそ300メートルの距離に設定されたコーンを指揮官自ら少しずつ外にずらし、走る距離を増やした。
選手を5組に分けて、1人計2周。下位3チームは、もう1周。助っ人で唯一人参加のペレスは、ガス欠でリタイアだ。最後の1周の際、断然の最下位だったチームのアンカー藤浪を真剣に走らすため、上位2チームの選手を自ら妨害。藤浪は2人を抜いた。
「差がつきすぎたからちょっとインチキして。藤浪を走らすために」という金本監督に、藤浪は「しんどかったです。(でも)あのくらい走れますよ。若いんだから」と笑顔。藤浪に抜かれた西岡は「あと4クールあると思うとゾッとする…」、鳥谷は「死にそう」と顔をこわばらせていた。
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