文学座の名優、故北村和夫さんの長男として誕生。高校の文化祭で上演した舞台で演技に目覚め、俳優養成所などで学んだ後、98年に舞台「春のめざめ」、同年の映画「カンゾー先生」でデビューした。
偉大な父の看板で紹介されることに反発を覚えた時期もあったが、「カンゾー-」の故今村昌平監督が指針を与えてくれた。
「現場で裏方の手伝いばかりやらされ、ふてくされたときに監督から『お前、いらないから帰れ』と言われて目が覚めました。『いやです! 頑張りますから』と引かずに何度も謝って…。監督の言葉で『俺の代わりはいくらでもいる。唯一無二の存在にならなきゃ』と思えた」。24歳でこの世界に入り、地道に舞台で演技を磨き、30代を過ぎてドラマでも活躍できるようになった。
2007年に80歳で死去した父は、その背中で俳優の生きざまを教えてくれた。
「晩年の父は仕事が減り、僕と年収がひっくり返った。そのとき改めて弱肉強食の世界だと実感したし、肉体やセリフ覚えが衰えていく一方、その年にしかできない役があることもおやじは見せてくれた。80歳近くでも(出演作の)台本は常に2、3本あったし、1人で撮影現場に行く姿は相当すごかった。非常に貴重な最後の背中を見届けることができてよかった」としみじみ。「でも(同じ名字の俳優の)北村総一朗さんが最近息子さん頑張っているねと言われるそうです」と笑った。
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