呉昇桓が退団した場合に備えて、新外国人候補に急浮上したヒース。有事に備えて広島を自由契約になった右腕を調査する 非常事態リストに元鯉の右腕が急浮上!! 守護神の呉昇桓(オ・スンファン)投手(33)と残留交渉を続ける阪神が、有事に備えて今季まで広島に在籍したデュアンテ・ヒース投手(30)を調査していることが3日、分かった。球団は米国でのウインターミーティング(現地時間7~10日)後を、呉昇桓からの回答期限とする構え。リミットはおよそ1週間だ。
絶対に残って欲しい。ただ、もしもの場合は敏速に対応しなければならない。呉昇桓との交渉を続けながら、流出危機に備えて新外国人投手リストの作成を進めている中で、聞き覚えのある名前が急浮上していることが分かった。最速154キロ右腕のヒースだ。
「球も速いし、いい投手。日本にも慣れてきたし、クイックなど改めてきちんと教えて対応できれば、戦力として計算できる」と球団幹部。ヒースは昨年7月にホワイトソックス3Aから広島に入団。7試合に先発して3勝(0敗、防御率2・38)を挙げた。2年目の今季は抑えを期待されたが安定感を欠き、43試合で3勝6敗4セーブ10ホールドに終わったが、防御率は2・36だった。
広島は来季の保留選手名簿(12月2日公示)から外したが、実質、日本でのキャリアは1年ちょっと。阪神はメッセンジャーが来日2年目に覚醒した経験もあるだけに、日本野球に慣れることで、ヒースにはまだ伸びしろがあると見ている。
呉昇桓は今季限りで契約が切れるため、編成部はシーズン中から米大リーグや韓国リーグなど、中継ぎ、抑えが可能な速球派の右腕をチェックしてきたが、今オフはリスト上位の選手で日本行きOKが少ないという現状もある。それだけに、このタイミングで広島を自由契約になったヒースが、調査対象に挙がったわけだ。
状況は、それだけ切迫している。昨オフは、海外FA権を行使してメジャー移籍を模索した鳥谷の決断を今年1月上旬まで待ったが、四藤球団社長はこの日、球団事務所で「状況は似ているが、事情が違う」と話した。
日本人選手と違い、外国人選手には貴重な1軍枠(4人)がある。さらに守護神という役割の重さ。新加入の藤川や、セットアッパー福原ら候補はいるが、ストッパー、少なくともセットアップをできる選手を補強しなければ、チームの構成が成り立たないからだ。
だからこそ長くは待てない。呉昇桓の残留を最優先事項として進めている同社長だが、年内がメドかを問われると「いや、そこまでは待てない。可及的速やかに…。(気持ち的には)すぐにでも答えが欲しいくらい」と、時間的猶予が少ないことを説明した。
呉昇桓は米テネシー州ナッシュビルで行われるMLBウインターミーティング(現地時間7~10日)に参加予定。移籍市場の輪郭はそこで見えてくるだけに、ウインターミーティング明けは大きな節目となる。同社長も「(方向性は)そのくらいには…」と話した。
閉幕は日本時間11日。材料が出そろった上で韓流守護神が、どう判断するか。あと1週間近く。迫るリミット。虎は吉報を待ちながら、最悪の事態にも備えていく。
★ウインターミーティング
米大リーグ30球団の関係者が一堂に会し、FAやトレードの交渉をまとめる。毎年12月に行われ、今年は7日から10日まで米テネシー州ナッシュビルで開催。野球関連の見本市や就職フェアなども開かれ、最終日には、ルール5ドラフト(メジャー登録枠から外れた選手が対象となるドラフト)が行われる
★10月23日 関西国際空港から韓国へ帰国する際に、金本監督について「一度は一緒にやってみたいという気持ちはあります」と発言
★11月16日 韓国の報道でメジャー球団関係者と接触するために代理人サイドと15日に韓国から渡米したことが明らかになった
★同30日 高野球団本部長が日本野球機構(NPB)に提出する2016年の保留選手名簿から呉昇桓を外したことを明らかにした
★12月2日 コミッショナー事務局から呉昇桓が自由契約選手として公示された
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