中学生らを熱心に指導する矢野コーチ。藤浪へ大きな期待を口にした(撮影・甘利滋) 阪神・矢野燿大作戦兼バッテリーコーチ(46)が28日、宝塚市内で「39ベースボールプロジェクト(特別協賛・株式会社タツミコーポレーション)」に参加。今季199投球回に終わった藤浪晋太郎投手(21)に来季200回指令を出すと、エースとしての風格も求めた。
真のエースになってほしい-。未来のプロ野球選手を相手に笑顔で指導していた矢野作戦兼バッテリーコーチだが、野球教室後、藤浪について話が及ぶと、その表情は引き締まった。
「まだまだ伸びてもらわないと。本人もそのつもりだと思うけど、今で完成といわれても困る。ノルマというと、大きすぎるけど。200イニングは、ひとつの大きな目安になる」
突き抜ける青空の下、口にしたのは「200投球回」だった。藤浪は高卒3年目の今季、過去最高の14勝(7敗)に加えて、最多奪三振のタイトル(221)も獲得。充実のシーズンとなったが、投球回は199と、大台にはわずかに届かなかった。
矢野コーチは逆に、「(届かなかったことは)すごくいいでしょ。目標も明確になる」と、来季への発奮材料になると期待。「全然(投球内容が)ダメで200イニングを越えるのは無理だし。(求めるものを)いいだしたらキリがないけど、イニングが一番、ついてきやすい」。
球団関係者によると、すでに周囲には「藤浪を特別扱いはしない」と宣言しているという。虎の若きエースに対し、厳然とした態度で向き合う。もっと成長が見込めると信じるからこそだ。
「(ここまでは)順調に来すぎているかなと思うが、よりいい投手になることを考えてくれたら、自然とチームの中心になってくれる。風格であったり、空気感であったりも、チームの中心としてふさわしいものが出てきたら」
空気でもチームを引っ張れる存在になってほしい。矢野コーチの求めるエースへの壁は高いが、まずは200投球回が第一関門だ。(山口大輝)
◎…最近10年でセ・パ両リーグで200イニング達成者は20人で32回記録(セが12人16回。パが8人、16回)。今季達成者は広島・前田、中日・大野のみ
◎…最近10年で最も投げたのは2011年のダルビッシュ有(当時日本ハム)の232回
◎…最近10年間で最も200イニング達成者が多い球団は、セでは阪神の4人(06年井川、10年久保、11年能見、14年メッセンジャー)。回数では広島の5回(前田4回、バリントン1回)
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