真のエースになってほしい-。未来のプロ野球選手を相手に笑顔で指導していた矢野作戦兼バッテリーコーチだが、野球教室後、藤浪について話が及ぶと、その表情は引き締まった。
「まだまだ伸びてもらわないと。本人もそのつもりだと思うけど、今で完成といわれても困る。ノルマというと、大きすぎるけど。200イニングは、ひとつの大きな目安になる」
突き抜ける青空の下、口にしたのは「200投球回」だった。藤浪は高卒3年目の今季、過去最高の14勝(7敗)に加えて、最多奪三振のタイトル(221)も獲得。充実のシーズンとなったが、投球回は199と、大台にはわずかに届かなかった。
矢野コーチは逆に、「(届かなかったことは)すごくいいでしょ。目標も明確になる」と、来季への発奮材料になると期待。「全然(投球内容が)ダメで200イニングを越えるのは無理だし。(求めるものを)いいだしたらキリがないけど、イニングが一番、ついてきやすい」。
球団関係者によると、すでに周囲には「藤浪を特別扱いはしない」と宣言しているという。虎の若きエースに対し、厳然とした態度で向き合う。もっと成長が見込めると信じるからこそだ。
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