安芸ドーム内で繰り返し行われた一、三塁での守備(送球は梅野)。もう同じミスは許されない(撮影・白鳥恵) 阪神1軍秋季キャンプ(14日、安芸タイガース球場)もう屈辱は御免だ。阪神・高代延博ヘッドコーチ(61)が『ノーモア本盗』を掲げ、安芸ドーム内で入念な練習を行った。今季、実に3度も広島に決められた本盗。練習から徹底してミスを撲滅し、来季の金本阪神は、絶対に相手へ隙を与えない。
来季も同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。激しい雨音が響く安芸ドーム。金本監督が不在の中、高代ヘッドコーチが特別練習を課した。
「普段、秋(キャンプ)では行わないメニューだけど」
そう言いながら行ったのは、本盗阻止のサインプレー。今季の虎が、嫌と言うほど辛酸をなめさせられた『魔の一、三塁』だった。
「同じことをやられたらあかんのでね。若い選手もいるし、春(キャンプ)で上(1軍)に抜てきされても戸惑いがないように、今のうちにやっておかないと」
一、三塁に走者を置き、投手役を務めた浜中打撃コーチの投球と同時に、一走がスタート。捕手は三走の動きを見ながら二塁に送球する。三走がスタートを切った場合は二塁手か遊撃手がカットし、本塁へ返球。投手カットの場合や、捕手が三塁へ投げるケースも。そんな基本的な動きの確認を、約20分間にわたって反復練習したのには、明確な理由がある。
一、三塁で、本盗や重盗によって1点を奪う。年に一度あるかないかという作戦だが、これを今季の阪神は実に3度も、広島にやられた。その3試合すべてに敗れ、対カープは8勝15敗2分けと大きく負け越した。
学習能力がないと言われても仕方ないシーズン3度ものミス。来季は絶対に、犯さない。
「(この練習は)必修科目やからな。今回は試験的な練習だったが、春(キャンプ)にはしっかりと確立させたい」
力を込めたヘッドは、「(逆に攻撃でも)いかにランナーを進めるか、いかに点を取るか。『ノーヒットで1点』という可能性を高めるためにも大事になってくる」と続けた。1点を守り、1点を奪う。そんな金本野球のキーワードは、守でも攻でも『一、三塁』だ。 (白石大地)
★5月10日(甲子園) メッセンジャーが1-2と勝ち越しを許した五回、なお二死一、三塁で一走・丸がスタート。捕手・藤井が二塁送球もセーフ。その間に三走・田中に本塁へ滑り込まれた(記録は重盗)。2-7で敗れ、11年ぶりに広島に甲子園で3タテをくらった
★9月2日(甲子園) 1-0の四回二死一、三塁で、岩田が一走・鈴木誠が飛び出したのを見て一塁へけん制球。高く浮いたのを見て三走・新井がスタート。ジャンプして捕球した一塁・ゴメスが本塁返球もセーフ(記録は本盗)。同点に追いつかれ、結局、1-5で敗れた
★9月13日(甲子園) 0-1の六回二死一、三塁で、一走・エルドレッドがスタート。捕手・鶴岡の送球が二塁に到達する間に三走・菊池が悠々とホームに入った(エルドレッドが盗塁死したため、本盗にはならず)。直前に中西投手コーチがマウンドへ行き、送球は投手がカットするサインを確認したばかりだったが、高宮は捕球せず。お粗末プレーの末、0-3で敗れた
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