五回に適時三塁打を放った山田。ヤクルトのリーグ優勝の立役者が、侍ジャパンでも輝いた(撮影・今野顕) 日本代表強化試合第1戦(5日、プエルトリコ代表3-8日本代表、ヤフオクドーム)野球の国際大会「プレミア12」に出場する日本が8-3でプエルトリコを破った。「3番・二塁」で出場した山田哲人内野手(23)=ヤクルト=が五回に左中間フェンス直撃の適時三塁打を放つなど、2安打1打点の活躍。小久保裕紀監督(44)の期待に応えた。日本代表は6日もプエルトリコと強化試合を行い、8日に札幌ドームで1次ラウンド初戦となる韓国戦に臨む。
ドスン! 鋭く振り抜かれたバットから放たれた打球は失速することなく、ヤフオクドームの左中間フェンスを直撃。左翼手がクッションボールの処理にもたつく間に山田は三塁を陥れた。
「ド・真芯ではなかったけど、いい感じで打球に角度がついてくれました。緊張感なく、スムーズに試合に入れました」
4点リードの五回二死二塁。初開催の国際大会「プレミア12」に向けたプエルトリコとの強化試合で3番デビューを果たした山田(ヤクルト)が適時三塁打だ。七回には三遊間の深い当たりで内野安打を稼ぐ。第1打席から空振り三振、左飛に倒れたが、2安打1打点の巻き返しだった。
8日の初戦で、韓国と激突する侍ジャパン。山田は小久保監督に、キーマンに指名された。4日の監督会見。指揮官は「野手の中心? 1人というわけではないけど、やっぱり勢い、今年の活躍をみても山田は球界を代表する打者になったと思う」と改めて評価した。
代表初練習が行われた3日には「今のところ、山田を3番でいこうかなと思っています」と3番に指名した。レギュラーシーズン中から慣れ親しんだ打順。23歳の若武者は「プレッシャーはかかると思うけど、自分で(打って)決めようと思わず、後ろにいい打者がいるのでチーム打撃をしたい」と控えめに話した。
昨年11月の日米野球から小久保ジャパンに名を連ねる。ヤクルトでは2年連続で好成績を収め、日本を代表する打者へ成長したが「緊張は隠しています」と苦笑い。それでもソフトバンクとの日本シリーズ期間中、テレビ解説で訪れた小久保監督から「頑張ってくれ」と声をかけられ、気合を入れ直していた。
チームの危機を救え-。不動の3番打者として期待された柳田(ソフトバンク)が左膝のけがで代表を辞退。侍ジャパンの目玉だった山田と柳田のトリプルスリーコンビが名を連ねる打線は実現しなかったが、新3番の山田が機能。2015年の打線も活発だった。
12安打8得点での快勝劇に、小久保監督は「スタメンの選手は全体的に自分のスイングができていた」とご満悦だ。
山田は代表期間中、球団からの指令でウエートトレーニングを行っている。来季を見据えた鍛錬も始まっているが、今はプレミア12の初代王者が最大のテーマだ。
「状態は悪くない。(8日の)韓国戦は緊張すると思うけど、できるだけリラックスして臨みたいです。結果に、勝利にこだわりたい」
23歳の若きスラッガーがこん身のフルスイングで勝利をもたらす。 (吉村大佑)
★もつ鍋で交流
山田は代表合宿で、侍ジャパンの選手とのコミュニケーションを図っている。2日の集合日には川端、中村悠、小川のヤクルト勢に平田(中日)を加え、博多のもつ鍋店でプチ決起集会。後日、親交のある主将・嶋(楽天)とも食事に出かけた。23歳の若手だが、「みなさんが話しかけてくれ、気を使わずに野球ができている」。これまで接点のなかった同じ内野手の中島(日本ハム)とも交流を深め、二遊間の連係プレーにつなげようとしている。
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