シーズン60発男はカンフル剤となりうるか-。
ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(31)が7日、約4カ月ぶりに来日した。5月に米国で左太ももの手術を受け、現地でリハビリ。「痛みはない」と埼玉・戸田市内の2軍施設で、1軍復帰への最終調整を行っている。
「チームのみんなが優勝に向けて一生懸命頑張っている。早くラインアップに入って、チームの勝利に貢献したい」
実績は十分だ。2011年の来日1年目から3年連続で本塁打王のタイトルを獲得。13年は日本新記録の60本塁打を放った。
今季、めざましい活躍を見せている「山田以上に本塁打を期待できる打者。終盤はエース級の投手同士の接戦になると思うので、その存在は大きい」と真中監督。調整が順調ならば、最短18日巨人戦(神宮)の復帰を目指すという。大砲の存在は他球団にとって脅威になるだろう。
ただ、今季の出場はわずか1試合。選手の中には、バレンティン抜きで優勝争いを繰り広げてきた自負もあるだろう。でも、14年ぶりの優勝のチャンス。バレンティンの長打力、そして出塁率の高さを勝利につなげない手はない。
これまで自由奔放な言動が目立ったバレンティンにも変化が見える。「チームがいい状態なので、わがままはいえない。代打でもスタメンでも、しっかり準備したい」と真面目にコメント。さすがに怠慢プレーはしないだろうという期待感はあった。また、東京都内の球団事務所でバレンティンを直接激励した衣笠球団社長は「真顔で『一生懸命頑張る』と言っていた。謙虚で前向きな発言が多く、模範生を見ているようだった」と語った。
10月17日には、長女・ミアちゃんが4歳の誕生日を迎える。腕にまな娘の名前のタトゥーを入れるなど溺愛しており「プレーオフに行けば、日本で誕生日が迎えられる」とバレンティンは笑顔を見せていた。
バレンティンの力量は誰もが認めるところ。勝利、優勝への執念をプレーで示せば、ここまで奮闘してきた選手からも不満は出ないだろう。大砲が現有戦力にマッチすれば、セ界の頂点が見えてくる。(吉村大佑)
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