ゴメス(左)は1点を追う九回二死満塁で三ゴロに倒れ、試合終了…(撮影・安部光翁) (セ・リーグ、広島6-5阪神、12回戦、広島7勝4敗1分、4日、マツダスタジアム)あぁ…。ゲームセットの瞬間、鯉党の歓声の裏で、虎党のため息がせつなくもれた。あと1本で結果は変わっていた。1点を追う九回二死満塁。力なく三ゴロに倒れたゴメスは、天を仰いだ。
「(ゴメスは)状態はよくないけど、ここは乗り越えていかないといけないところ」
和田監督が心配するかたわらで、G砲は何も語らずに引き揚げた。九回に中崎から3四球をもらい、労せずして手に入れたチャンス。苦しいのは相手のはずなのに、主砲はツーシームに差し込まれてボテボテの三ゴロ。この日を象徴するシーンで、試合は終わった。
過去3試合で土をつけられなかった黒田から3点を先制し、ついに攻略した。だが、ようやく打線が意地を見せながら勝ちきれない。4番で流れが止まったからだ。
三回無死一、三塁で遊ゴロ併殺。この間に1点入ったが、相手守備の乱れもあり、大量点のチャンス。走者を残せば押せ押せムードは続いていた。二、六、八回も先頭で凡退して、5タコ。これで今季4試合連続で、黒田が先発した試合では勝てていない。
7月は自己最高の16試合連続安打を記録した。一方、22試合でわずか5打点。持ち味の勝負強さが目立たなかったのも事実だ。現在は本塁打から17試合も遠ざかり、アーチどころか、最近6試合は長打もない。11打席無安打の助っ人が心配なのは、明らかだ。
「野球だからいいときも悪いときもある。毎日、ベストを尽くすことは変わらない」
常々口にしている姿勢は不変だが、チームは小差の優勝争いの真っ最中で、結果が求められる立場。昨季は8月も25試合で打率・281、5本塁打16打点と上々で、夏バテは心配ないはずだ。周囲の不安を一掃する快音を、早く聞きたい。 (安藤理)
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