東京ドームの右翼席で白球は大きく弾んだ。五回二死一、二塁、3番・茂木が98キロのスローカーブを一撃。プロ注目の左打者が、格の違いを見せつけた。
「甘い球が来たらと思って振ったけど、高く上がって(右翼手が)見送ったのを見て入ったかな、と思いました。あんなに飛ぶとは…」
六大学のリーグ戦開幕前に腰部打撲で出遅れた。それでもリーグ戦で5本塁打を放ち、この日は4打数3安打3打点。茂木の快進撃は止まらない。
観戦したヤクルト・小川SDは「桁が違う完璧なスイング。速い球を左へ、緩い球を右へ運ぶ。投手として最も厄介な打者。体は大きくないが、西武の森のような長打力もある」と絶賛。1メートル71、75キロと上背はないが、その打撃にプロ野球西武・森の姿を重ねた。
茂木の打撃に引っ張られるように、初戦から打線は計11安打で12得点。東海大北海道を相手に五回コールド勝ちを収め、2012年以来、5度目の日本一へ好発進した。
高橋広監督(60)も納得の表情。「疲れがとれた茂木をはじめ、よく打っている」と目を細めた。11日に予定される準々決勝の相手は東都の覇者、専大。「次の投手はいいから、1点勝負になると思う」。六大学覇者の意地をかけ、早くも次戦を見据えていた。 (赤堀宏幸)
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