サヨナラの押し出しを決めた福留。手荒い祝福を受けた(撮影・白鳥恵) (セ・パ交流戦、阪神4x-3楽天、3回戦、阪神3勝、28日、甲子園)連夜のサヨナラや! 阪神は延長十一回、前夜にサヨナラ弾を放った福留孝介外野手(38)が押し出し四球でケリをつけた。全6打席出塁した荒木郁也内野手(27)が最後もチャンスメーク。初の交流戦開幕3連勝で、借金も「1」。交流戦単独首位で、リーグ3位に浮上。通算5000勝を劇的に決めた。
聖地が連夜の劇勝に揺れた。劇的な幕切れはまたも延長十一回。野球は二死からをまさに体現し、球団通算5000勝を達成した。立役者はお立ち台に上がった福留&荒木だった。
「恥ずかしいですね。できれば(前の打者に)決めてほしいと思っていました」
2試合連続でのお立ち台で福留はおどけてみせた。3-3で迎えた延長十一回。戸村にあっさりと二死を献上したが、そこから粘り腰をみせた。荒木が右前打、マートン、ゴメスが連続四球で満塁に。受け取ったバトンをゴールに届けたのは昨夜のヒーローだった。制球が定まらない相手にどっしりと構えた。最後はフルカウントから内角低めの球を見極め、押し出しの四球。2戦連続のサヨナラ打点は、球団では1985年9月15、16日の中日戦の岡田彰布以来、30年ぶりだ。
3点ビハインドの六回にも勝負強さを発揮していた。1点をかえし、なお二死一塁で先発・菊池から右翼線を破る適時二塁打。6試合連続の打点を挙げると、2-3の八回には一死後、福山から右中間に二塁打を放ち、伊藤隼の同点打につなげた。
劇勝を演出したのが5年目の荒木だ。6打席連続出塁にプロ初の猛打賞。2盗塁を決めると、サヨナラのホームも踏んだ。故障離脱の西岡、新井に代わり「2番・三塁」で2戦連続出場。「代役には到底なれないですけど、迷惑をかけないように」。
今春キャンプで、内野全ポジションを守れる器用さやシュアな打撃で評価を上げたが、2月28日に「右腹斜筋筋挫傷」で離脱。リハビリに耐え、19日に今季2度目の昇格を果たしたばかりだった。
和田監督も両者に賛辞を惜しまなかった。福留について「最後は、選球眼が勝った1球だったね」とほめれば、荒木についても「最後だけでなく全打席出塁して、クリーンアップにつないだ。2番として最高の仕事をした」と最上級の言葉をおくった。
運命に導かれるようにこの2人が同時にお立ち台に上がった。今春の1軍キャンプ。福留は日々のキャッチボールの相手に荒木を指名。「荒木は必ず今年出てきますよ」と関係者に話すほど、期待を寄せていた。その先見の明が確かだったことも証明された。
交流戦開幕3連勝は虎史上初。借金もついに1とし、3位に浮上した。勝利に飢えた和田阪神の勢いはまだまだ加速する。 (山口大輝)
◎…阪神が球団創設以来、通算5000勝目を挙げた。公式戦初戦の1936年4月29日、金鯱戦(甲子園)で3-0と勝利。5000勝は巨人(5666勝)に続き、2球団目。ここまでの阪神の通算は9975試合(4674敗301分)
◎…阪神が交流戦の開幕から3連勝するのは初めて。交流戦開幕からの最多連勝は2007年日本ハムの「12」。
◎…福留の6試合連続打点は中日時代の9月19日から同26日以来。この期間に8試合連続打点を挙げている。
◎…福留は前日の楽天戦でもサヨナラ2ラン。2試合連続のサヨナラ打点は、球団では1985年9月15、16日の中日戦の岡田彰布以来、30年ぶり。
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