四回、谷繁に3ランを浴びたメッセンジャー(撮影・安部光翁) (セ・リーグ、阪神2-9中日、7回戦、阪神4勝3敗、4日、甲子園)メッセに緊急メス! 阪神は先発のランディ・メッセンジャー投手(33)が4回6失点で今季最短KO。中日相手に2-9の大敗で、チームは今季2度目の3連敗を喫した。首脳陣は5日、悩める右腕と緊急面談。登板間隔を空ける可能性やフォーム修正などについて、ついにメスを入れる。
険しい表情のナインが次々と消えたロッカールームを、重苦しい空気が包んだ。ゴールデンウイークの甲子園。エースで勝つべき試合で惨敗した。コーチ会議を終えた首脳陣の帰宅はいつもより遅れた。用意したのは、またも期待を裏切ったメッセンジャーへのメスだ。
「いい状態で投げられていない。どうしたら一番よくなるのか、最善策を考えないと。本人とも話して、こちらの意見は伝える」
中西投手コーチが今後の起用&調整法について、5日に緊急面談を行うことを明かした。目を覆いたくなる光景だった。一回一死二塁で、平田に初球を左前適時打。あっけなく先制を許すと、三回にも2点を失い、極めつけは四回だ。いずれも初球打ちで2安打を浴び、一死二、三塁で谷繁に左越え3ラン。聖地は静まりかえり、4回9安打6失点で今季最短KOとなった。
「自分がどう感じようが、6点取られた。その事実に尽きるよ」
覇気のない言葉に、昨季の最多勝投手(13勝10敗)の面影は消えた。2勝4敗で、防御率5・65はリーグ最低。あっさり痛打される光景が深刻さを物語る。4月22日のDeNA戦(横浜)では無気力とも取れるそぶりを見せ、もはや黙ってみていられる状況ではない。
「もう一度話し合ってからだけど、俺の意見は(登板間隔を)空けさせた方がいいと思う」
同コーチは次回は登板間隔を空けることを、まず本人に伝える。中5日で10日の広島戦(甲子園)の登板予定はいったん白紙。直球の大半が140キロ台前半で、「体が一塁側に流れているから、100%の力でリリースできていない。7割くらいの力」と指摘した。間隔を空けて修正する方法が一つ。2軍降格は「ありえない」としたが、本人がファームでの調整を希望すれば、それも選択肢となる。
助っ人自身もストレスが表に出た。三回の打席では空振り三振に倒れ、ベンチ前でバットをたたきつけた。谷繁の本塁打の後には、思わず苦笑い。節々にイライラも表れ、和田監督は「ビハインドになると持ちこたえられんね。踏ん張りがきかんな」と不安を認めた。2軍降格について問われると、答えを探すように言葉を選んだ。
「開幕を張った投手だから、何とかローテでしっかりとまわってほしいんだけど…」
過去5年で通算52勝を挙げてきた先発の柱だけに、結論を長引かせることは命取りだ。「これも野球だから」と声を絞り出した背番号54。代役のいない立場で、復活はチーム浮上の鍵を握る。このままズルズル沈むわけにはいかない。(安藤理)
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