オリックスから国内フリーエージェント(FA)権を行使し、阪神が獲得オファーを出している金子千尋投手(31)が、移籍先を選ぶ条件として、右肘のリハビリ環境を挙げていることが22日、分かった。中村勝広GM(65)に対し、代理人が明かしたもので、虎に対しての初要望。阪神は右肘の回復を最優先にして、本人の希望を尊重した特別待遇で吉報を待つ。
自身の去就について悩み続ける金子の一番の要望が明らかになった。もちろん、高年俸もメジャー移籍実現も大事。だが、もっと重要なことがあった。
阪神・中村GMが前日21日に金子の代理人と電話会談。そのやりとりについて「金銭面だけではないと強調されていた」と明かした。報道陣の「一番はリハビリ環境か?」の問いに「もちろん」と同GM。金子は先月29日に骨棘除去手術を受けた右肘の回復を最優先に考え、移籍先を検討しているといい、金子側からの初の要望だ。
オリックス、中日、楽天、DeNAなどライバル球団は多いが、金子を受け入れる体制は整っている。球団幹部は「金子選手の調整法もあるだろうし、開幕には間に合うと聞いている。自由にやってもらっていい」と言い切った。
当然、本人の希望に応じるつもり。必要とあれば、来年2月1日から始まる沖縄春季キャンプに遅れてきても構わない。2007年シーズン終了後に左膝の手術を受けた金本はリハビリを優先。翌年1月後半から米国に滞在し、春季キャンプ合流は2月後半だった。万全の状態でシーズンに臨めるなら、独自調整を容認する。
金子にとっても阪神入りのメリットはある。甲子園のクラブハウス内にリハビリ用の流水プールを完備。トレーニングルームなども充実しており、環境は申し分ない。
阪神は金子に対し、2度にわたって条件提示。本人がメジャー移籍を希望した場合、阪神で2年を終えた後、ポスティングシステム(入札制度)ではなく自由契約にするという金子の希望に柔軟に対応する内容となっている模様だ。
「各球団の条件は出そろったのではないか」と中村GM。金子本人との直接交渉に向け、今後、球団が絞られる見込み。入団後のバックアップ体制を約束する虎が異例の特別待遇で争奪戦を制す。
★10月27日 金子が米大リーグ挑戦の希望を初めて明かした
★11月24日 金子が「今オフでのポスティング移籍はしない方向で考えている」と表明
★同25日 阪神・南球団社長が大阪市内での球団納会の前、「オファーを出します」と明言。金子は右肘の遊離軟骨の除去手術を受けることを明かした
★同29日 金子が右肘骨棘除去手術を受け翌日に退院。診断は復帰まで3カ月の見込み
★12月15日 阪神の球団幹部が、金子に複数年で条件提示していたことを明かした
★同16日 提示は3年契約で、3年目はメジャーについて柔軟に話し合うことが判明
★同20日 阪神が金子サイドに新たな条件を盛り込み条件を再提示。金子サイドからは「検討します」という返答
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