公開喝や! 阪神・平田勝男ヘッドコーチ(55)が14日、兵庫・淡路市内で若手選手と一緒に野球教室を行った。仮に海外フリーエージェント(FA)権を行使した鳥谷敬内野手(33)が移籍した場合の遊撃手の後継者に、2軍監督として育てた若虎を指名。西田直斗内野手(21)の前で、本人に聞こえるように取材に応じて期待をかけた。
何を話しているのか一目瞭然だ。数メートル横には本人たち。自身の名前を聞いた若虎の背筋が伸びていった。「西田、1軍に上がったのは去年だよな?」。直接話しかけながら、平田ヘッドコーチはわざと本人に聞かせるように取材に応じた。
「西田や北條も、ぱっと名前が浮かんでくるようにならないとな」
海外FA権を行使した鳥谷の話題が、来季の遊撃手につながるのは必然だ。今季ファームで遊撃を守った若虎も候補。前2軍監督のヘッドコーチは代表格の2人に期待した。特に、野球教室に同行した西田については強調。本人に聞こえることを前提で声を大にした。
「仮の話をするのはよくないけど、(鳥谷流出なら)絶好の機会なんだから」
鳥谷の後継者として真っ先に挙がったのは中堅・大和のコンバートだ。内野手にとっては寂しい事実。「必要とされる、使ってみたくなる選手になってもらわないと」。西田は今季2軍戦で打率・228も、チームで3番目に多い94試合に出場。将来を期待されていることは明らかだ。
親心を表したヘッド自身も、立場の変化で選手を見る目も変わる。「これまでは育成だけど、これからは戦力としてみることになる」。遊撃手出身で、同じポジションの後輩には高いレベルを求めるつもりだ。
「自然とそうなるだろう。俺も和田監督も内野出身だから、注文は多くなると思う」
あえて放った喝は届いた。「聞こえました」と話した西田は燃えた。「秋のキャンプは大和さんばかりで、自分は目立てていないなって。ポジションを取りたいという気持ちは強い。春季キャンプでは目立ちたい」。空いた席を奪うのは球界の常識。最後にこう、付け加えた。
「ソフトバンクの今宮だって、川崎がFAで出てチャンスがきた。上本もそうだろ、西岡のけがで。そこで獲れるようにならないと」
ポスト鳥谷はお前たちだ。遊撃奪取へ、平田チルドレンの逆襲開始だ。(安藤理)
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