中大のひたむきなタックルに、流経大は80分間苦しみ続けた。19-21とリードされ、プレーが切れれば終了という土壇場で得た、相手ゴール前でのスクラム。CTB木村海斗主将(4年)は全員に「とにかくボールキープしろ。まだチャンスはある」と声をかけた。
そのスクラムで2度、中大PRがコラプシング(スクラムを崩す)の反則。2度目の反則で、素早くタップキックして右中間に飛び込んだのが2年生FL広瀬直だ。逆転トライの瞬間、秩父宮の時間表示は後半44分を回っていた。
1メートル67、86キロながら縦への推進力に定評のある広瀬は「ここは行くしかない、絶対に取ってやるという気持ちでした」と、殊勲の自身公式戦初トライを振り返った。
直前にWTB桑江健一郎(2年)のトライかと思われた突進がタッチの判定。「このチャンスを逃したら、もう勝てないと思っていた。広瀬の判断は間違っていないと思います」と木村主将。卒業後は消防士を志望し勉強に入るといい、見事に仲間の動揺を消火。V2へと導いた。
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