プロ野球のフリーエージェント(FA)権行使の申請期間が11日、終了し、8選手が手続きを行った。国内FA権行使の手続きを取ったオリックス・金子千尋投手(31)は米大リーグ移籍を視野に入れるが、ソフトバンクも獲得の意思を示した。阪神・鳥谷敬内野手(33)は大リーグ移籍を目指し、日本ハム・小谷野栄一内野手(34)も国内移籍を視野にFA権行使を表明した。FA宣言選手は12日に公示され、13日から他球団との契約交渉が可能となる。
ついに決断した。兵庫・西宮市で侍ジャパンの練習を終えた金子は「すべての可能性を考えたいので、こういう決断に至りました。しっかり考えた上でのことです」。この日朝、瀬戸山球団本部長に電話で権利行使の意向を伝えた。今後の交渉は20日に日米野球が終了した後になる。
前例のないFA交渉が始まる。金子は米大リーグへの移籍希望を持つ。ルール上、国内FA権を行使してもポスティングシステムの利用を要望することができる。オリックスがポスティングを認めれば、最大2000万ドル(約23億円)の譲渡金の支払いを受け入れるメジャー全球団と交渉が可能。事実上の海外FAともいえる制度の盲点だ。
オリックスにポスティングを求め、かなわなければ国内他球団へ移籍、という選択肢もある。その場合、ポスティング申請が可能になるのは最短でも来オフ。ソフトバンクは早々に獲得の意思を示した。例えば「1年間ウチで活躍してくれれば、来オフ、ポスティングを認める」という条件を付けることも可能になる。
金子への年俸とオリックスへのFA補償に高額を費やしても、ポスティングによる米球団からの譲渡金2000万ドルで取り戻すことができる-。こう考える球団があってもおかしくない。
「今は日米野球に集中したい。中途半端な気持ちで投げたくないので。終わってから考えたい」と金子。米移籍の場合にはダルビッシュ(レンジャーズ)らを手がけるアーン・テレム氏を代理人に選ぶことが決定的。今季の沢村賞右腕は、将来に思いをめぐらせながら、日米野球に挑む。
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