午前11時。甲子園の中堅付近にナインが集められた。和田監督が、選手の輪に歩を進めた。峯本管理部長が一塁ベンチに向かって、声を掛け、打撃投手や広報、裏方らスタッフも、円陣に加わった。
「気持ちを解かずに、しっかりと準備しよう。もう1回、東京ドームに乗り込んで、巨人を倒そう。巨人を倒して、日本一を争う権利を得よう」
およそ1分40秒の訓示だった。静かに諭すように語りかけ、緊張感を高めた。戦いはこれから。挑戦権があるならば、もっとも高いところを狙うだけ。3年契約最終年の144試合を戦い終えても続投かどうか、去就が固まらず、退任の場合の後任候補に元監督の岡田彰布氏(56)が浮上する中、自分自身への援護射撃になる。
巨人を倒すためには広島と争うCS初戦の11日までに戦力を立て直すことが急務。始動初日に甲子園から1・5キロ離れた鳴尾浜から朗報が舞い込んだ。8月29日に腰痛のため、離脱した新井良が実戦復帰。2軍の紅白戦に「4番・DH」でスタメン出場し、マルチ安打を放った。
この記事をシェアする