高校時代からの最大のライバルとの先発対決。そして1イニング限定のリラックスした雰囲気。162キロの要素はさまざま考えられるが、16日に先発し、プロでは未経験の中2日での登板でも結果を残せるのが、やはりスターたるゆえんだ。
負けず嫌いも球速に反映する。プロ入り最速の160キロをマークした6月4日の広島戦(札幌ドーム)。最速160キロ右腕と注目されてプロ入りしただけに、翌日のロッカールームでチームメートに「160キロ出してやりました」と胸を張った。162キロは、花巻東高時代からの夢だった。入学時は体重60キロ台ながら最速は140キロ。「高校時代に160キロを出して、プロで日本最速を出す」と自らに課した。2年連続の球宴出場で自己主張もできる格好の舞台。「きょうはスピードだけを出しにいっていた」と豪語した。
レギュラーシーズンでは前半で9勝(1敗)。目標に掲げる2桁勝利にも王手をかけている。後半戦初登板は、25日からの楽天3連戦(コボスタ宮城)の見込みだ。「この経験を生かして、頑張っていきたいです」。チームは首位オリックスに6・5ゲーム差の3位。夏の思い出を胸に刻み、速さとともに満願成就の「日本一」の夢もかなえる。(中田愛沙美)
「テレビで見ていましたが、のっけから圧倒的なパワーで驚きました。(記録を)超されたとか、そういう次元じゃない。球宴で162キロを投げられることが素晴らしいし、若いのでさらに球速は出る。スピードボールは野球の醍醐(だいご)味。大谷くんの投球はワクワクするし、すごいものを見たなと思いました」
「一瞬(約0・41秒)で来る。160キロの世界を感じた」
「空振りして終わる気はなかった。速いなあと思いました。狙って出せるのがすごい。162キロの打席にはなかなか立てない。いい思い出にはなりました」
「『はええ!』って思った。(バッテリーを組んだ)クルーンは本当にどこに来るか分からなかった。大谷君はコントロールがあるし、球の質も全然、上だと思う」
★幻の163キロ!?
大谷の162キロに沸いた球宴だが、実は、テレビ表示だけで非公認の最速記録がある。1993年5月3日の西武-ロッテ(西武)。ロッテ・伊良部が伊東(現ロッテ監督)に163キロを投げ込んだ。本人はこの日、「覚えていないんですよ。でもまあ、きょうの大谷がそれほどすごいということ。大したものです」と脱帽していた。
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