オヤッ!? 古巣の007が首を傾げていた。
「新井さんのフォームが変わってますね…」
広島・井生崇光スコアラーのオシャレなサングラスは、気温22度、真夏のような日差しは隠せても、釘付けとなった視線は隠せない。フリー打撃で気持ちよさそうに快音を発していくタテジマの背番号25にロックオン!
サク越えは6本。決して多くはない。ただ、数字以上に打球音と弾道が見るモノを圧倒する。偵察部隊に例年と違う衝撃を与えていた。
新井は素直に変化を認めた。
「上体よりも下半身に力を入れて打つことを意識しています。去年とはかなり違ってますよね」
取り組んでいる新打法は、オフシーズンからの成果。1月5日、母校・広島工高で行った自主トレでは、変化をこう説明していた。
「小さな動きで大きな爆発力を生みたい。(つま先が外に向くと体が)どうしても広がろうとするから、内に内に(というイメージ)。特にスイングは遠心力」
両足のつま先をやや内側に向けたハの字型の内股フォームで長打を狙う。そんな主砲の変化に007は警戒心を抱いたはずだ。
「順調ですね」
振り返った新井。手応えを感じているキャンプ3日目だ。和田監督も「よく振り込んでキャンプにきたな、という感じは受ける。足も動いている」と現状を評価した。
とはいえ、新井の心中が穏やかなはずがない。一塁のポジションを争う新4番候補の新外国人マウロ・ゴメス内野手(29)=前ナショナルズ=がチームに合流するのは第2クール初日の7日。プロ16年目の37歳が迎える最大のピンチかもしれない。
ガチンコの定位置争い勃発へ。新打撃フォームで真正面からぶつかる準備は整った。ライバル007の次は、新助っ人もビビらせる。