2006.02.19 更新
越、涙の11位…「中年の星」もメダルの夢届かず引退へ
高速で頭から滑り降りる越(下も)。メダルを目指して果敢に滑走したが、操作ミスで無念の涙をのんだ(撮影・尾崎修二)
涙の終戦だ。スケルトン男子で41歳の“中年の星”越和宏(システックス)は2回目のミス滑走が響き、合計タイム1分58秒05で11位に終わった。前回ソルトレークシティー大会8位入賞から順位を落としたショックは大きく、引退も示唆した。元甲子園球児の稲田勝(27)=太陽グループ=は18位だった。39歳のダフ・ギブソン(カナダ)が冬季五輪史上最年長の金メダルを獲得した。
◇
涙が氷の上に落ちていく。今大会日本選手最年長の越にとって、悔いばかりが残る2分弱のドラマが終わった。妻と3人の子供を長野市の自宅に残し、すべてをかけた2度目の五輪は、入賞にさえ届かなかった。
「銅メダルは狙える位置にいたのに、情けない。これがボクの集大成かと思うと悔しい。こんな滑りをするために、この4年間積み上げてきたのかと思うと…」。声が詰まり、言葉が出ない。
1回目は9位。スタートダッシュのタイムは27人中21位だったが、最高速度は全体の4位にあたる時速123・4キロをマークした。3位まで0秒30。メダルの可能性が浮上し、2回目は攻めに出た。が、それが裏目に。速度が出すぎて第4カーブで滑走ラインが膨らみ、第6カーブの入り口で左壁に接触した。致命的なタイムロスでこの回14位。合計タイムで11位に終わった。
スケルトンが初めて五輪に採用された4年前のソルトレークシティー五輪で金メダル奪取を宣言して8位に終わると、前スポンサーとの契約は切れた。自ら東奔西走して4社との契約にこぎつけたが、今大会までの話。トリノからの帰国後は厳しい現実が待っている。
「スポンサーとの契約も全部切れる。家族のこともある。あと4年続けて何があるのか。ゆっくりではなく、すぐに判断しないといけない」
27歳でボブスレーから日本初のスケルトン選手に転向して14年。不屈の中年アスリートはついに“引退”の可能性も示唆した。41歳の挑戦は終わった。45歳で迎えるバンクーバー五輪を目指すのか。それともそりから降りるのか。越の肩に静かに雪が落ちてきた。
★稲田の“冬”終わる
稲田は前半の連続カーブを攻略できず、ソルトレークシティー大会と同じ18位。「自分の未熟さを感じた。まだまだ技術が足りない」。親交のあるアテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダリスト、室伏広治からプレゼントされたレーススーツで滑走したが、メダルには届かなかった。北海道・駒大岩見沢高時代には野球部に所属し甲子園出場経験があるアスリートは「このままでは終われない」とバンクーバー五輪での雪辱を誓った。

