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2006.01.10 更新

 

原田、大逆転で代表決定!トリノでも飛びます

原田雅彦

一念が道を開いた。37歳の大ベテラン、原田が冬季五輪史上最多の5大会連続出場を決めた(共同)

飛んだ、つかんだ、決めた! 2月開幕のトリノ冬季五輪ジャンプの代表に37歳の大ベテラン、長野五輪団体金メダルの原田雅彦=雪印=が、選ばれた。全日本スキー連盟(SAJ)が9日、都内で常務理事会を開き、同五輪16人の追加代表を発表。原田は選考基準を満たせなかったが、大逆転での代表入り。冬季五輪史上最多の5大会連続出場となる。国内スキー競技史上最年長代表となる原田は、過去に例がないノーマルヒル(NH)限定での選出となり、円熟したテクニックで“一発勝負”をかける。

一度は底に沈んだ男が、大飛躍で五輪代表をつかみ獲った。あの人懐こい笑顔。失敗ジャンプで流した涙…。「ミスター冬季五輪」。原田がトリノの空に、また高い放物線を描く。

「大変なことになった。選ばれるとは思っていなかった」

開口一番。欧州遠征からの帰国の際、フランクフルト空港で代表入りを聞いた原田は、驚きとうれしさを交錯させた。日本人選手として同じジャンプの葛西紀明(33)=土屋ホーム=とともに最多となる5大会連続の夢舞台へ。最後の最後まで五輪をあきらめなかったベテランの執念が結実した。

まさに、大逆転の代表入りだ。一時は、トリノへの道が閉ざされそうになった。昨年10月、長野・白馬で行われた海外派遣選手選考会で、竹内択(18)、伊東謙司郎(16)ら10代の選手たちに遅れ、28位の惨敗。五輪代表の選考大会となる今季ワールドカップ(W杯)メンバーから外れ、“圏外”に身を置いた。「正直、あせりはあった」。それでも、可能性が残されている限り、あきらめなかった。オトコ原田劇場の幕が開いた。

金メダリストのプライドをかなぐり捨てた。代表から漏れたが、全日本チームの海外合宿には、自費で強行参加。全日本を率いるカリ・ユリアンティラヘッドコーチ(52)の目の前で、自らの存在をアピールするためだった。無駄になってもいい。得意とするノーマルヒルを何度も、何度も飛んでみせた。

昨年12月の国内公式大会(名寄・ピヤシリ)で3位に入り、W杯の格下にあたるコンチネンタルカップ出場組へ昇格。同月のサンモリッツ大会で2位に入ったことが、高く評価されての代表入りだ。

今大会は異例の判断がなされた。原田はノーマルヒル出場に限定されての選出となったからだ。過去、事前にノーマルヒル、ラージヒルを区別して選考されたケースはない。飛距離の差が出にくい小さな台を得意とする原田のテクニックを高く評価するユリアンティラヘッドコーチらが、“特別枠”として認めた。

「いまでもノーマルヒルは自信あり。ラージヒルより世界との差が小さい」と、スペシャリストとしてメダルを狙う。

リレハンメルでの失速ジャンプ、長野で歓喜の金メダル、そして、前回ソルトレークシティー五輪では屈辱的な惨敗…。過去、4度の五輪で喜怒哀楽を味わった。田尾克史総括チーフコーチ(42)は「すべてを味わっている原田の経験は、絶対にチームのプラスになる」と期待を込める。

37歳9カ月。スキー競技史上最年長の五輪代表にもなる原田は「あと1カ月、やるべきことがたくさんあると感じている。精いっぱい頑張りたい」。トリノの空に、痛快なドラマを描いてみせる。

■原田雅彦(はらだ・まさひこ)

1968(昭和43)年5月9日、北海道・上川町生まれ、37歳。上川小3年でジャンプを始める。上川中1年で全国中学スキー優勝。87年に東海大四高を卒業し、雪印入社。五輪にはアルベールビル大会で初出場し、これまでに4大会連続出場。リレハンメル団体銀、長野ラージヒル銅、団体金。世界選手権は金2(93年ノーマルヒル、97年ラージヒル)、銀2(97年ノーマルヒル、99年団体)、銅1(99年ノーマルヒル)。W杯通算9勝。家族は妻・恵子さん(37)、長女・愛菜ちゃん(10)、長男・優雅君(7つ)。1メートル73、58キロ。

原田雅彦・今季成績
月・ 日 大 会 種目 開催地 場 所 順 位
12・17 名 寄 北海道 名寄ピヤシリシャンツェ 3位
18 吉田杯 7位
26 コン杯 スイス サンモリッツ 2位
27 エンゲルベルク 37位
28 64位
1・7 スロベニア プラニツァ 47位
46位
【注】大会の名寄は名寄ピヤシリ大会、コン杯はコンチネンタル杯。種目のNはノーマルヒル、Lはラージヒル

原田雅彦・五輪全成績
開催地 NH LH 団体
92 アルベールビル 14位  4位  4位
94 リレハンメル 55位 13位  銀
98 長   野  5位  銅  金
02 ソルトレーク  20位 20位  5位
【注】NHはノーマルヒル、LHはラージヒル

■ノーマルヒル

スキー競技のジャンプ種目には2つのヒルサイズ=HS(踏切台の先端地点から、安全に着地できる地点までの距離)があり、ノーマルヒルは85〜109メートルとされる。旧70メートル級。24年の第1回シャモニー大会から実施されている。また、ラージヒル(HS=110メートル〜184メートル)もある。旧90メートル級。64年の第9回インスブルック大会から実施。

■92年アルベールビル五輪

飛距離の出過ぎで、団体前半1本目の上原子次郎、2本目の原田のジャンプがキャンセルに。後半は、1人目の上原子が108メートル、2人目の原田も109.5メートルと続く。3人目の葛西紀明は97.5メートルだったが、アンカーの須田健仁が107.5メートルで最後を締めた。平均年齢23歳のチームは、団体では五輪、世界選手権を通じて当時最高の4位入賞を果たした。原田はノーマルヒル14位、ラージヒルでは4位入賞だった

■94年リレハンメル五輪

12カ国が参加したジャンプ団体。日本は西方仁也、岡部孝信、葛西紀明、原田のオーダー。1本目で2位につけた日本は、3人目の葛西の終了時点でトップに。2位のドイツとの差は55.2点。アンカー勝負でドイツのバイスフロクが135.5メートルの最長不倒をマーク。この時点で原田が105メートル飛べば史上初の団体金だったが、原田の着地点は97.5メートル。ランディングバーンにうずくまり、立ち上がれなかった

■98年長野五輪

1番手の岡部孝信が121.5メートル、2番手の斉藤浩哉が130メートル。続く原田は79.5メートルの失速ジャンプで、1回目を終わって4位。だが、2回目に岡部が137メートルのバッケンレコード。原田も137メートルをマークし、アンカー船木和喜が125メートルを飛び、2位のドイツに35.6点の大差をつけ、悲願の団体金を獲得

■02年ソルトレークシティー五輪

トップの原田、2番手の山田大起にK点越えはなし。船木、宮平秀治がともに2本ともK点越えはしたが、1度もメダル争いには加われず、5位と完敗した。正式種目となった88年カルガリー大会の11位以来の低い成績で、個人と合わせ3大会ぶりにメダル0に終わった

■データBOX

原田と葛西の両ベテランが5大会連続代表を実現。男女を通じて日本選手の冬季五輪史上最多となった。夏季五輪ではライフル射撃の蒲池猛夫、アーチェリーの松下和幹が5大会連続代表に選ばれているが、ともに日本が不参加だった80年モスクワ大会が含まれている。原田と葛西がけがなどで欠場しなければ夏季、冬季を通じ初の「5大会連続出場」となる。女子では橋本聖子が冬季スピードスケート、夏季の自転車で計7度五輪に出場した。

スキー・トリノ五輪代表
男子(所属、年齢) 女子(所属、年齢)
【アルペン】
佐々木明(ガーラ湯沢、24) 広井法代(アルビレックス新潟、29)
皆川賢太郎(アルビレックス新潟、28) 星瑞枝(日体大、20)
湯浅直樹(北海道東海大、22) 関塚真美(JWSC、20)
生田康宏(東京美装、26)  
吉岡大輔(アルビレックス新潟、26)
【距離】
恩田祐一(アインズ、25) 夏見円(JR北海道、27)
蛯沢克仁(川田工業、23) 福田修子(弘果ク、25)
駒村俊介(ワセダク、26) 横山寿美子(セコム上信越、31)
成瀬野生(早大、21) 石田正子(JR北海道、25)
  曽根田千鶴(北海道自衛隊、27)
【複合】
高橋大斗(土屋ホーム、25)  
畠山陽輔(秋田ゼロックス、25)
小林範仁(東京美装、23)
北村隆(東京美装、28)
渡部暁斗(長野・白馬高、17)
【ジャンプ】
岡部孝信(雪印、35)  
葛西紀明(土屋ホーム、33)
伊東大貴(土屋ホーム、20)
一戸剛(アインズ、29)
原田雅彦(雪印、37)
伊藤謙司郎(下川商高、16)
【フリースタイルスキー・モーグル】
附田雄剛(リステル、29) 上村愛子(北野建設、26)
上野修(リステル、22) 伊藤みき(滋賀・近江兄弟社高、18)
尾崎快(東京・青稜高、18) 里谷多英(フジテレビ、29)
  畑中みゆき(佐川急便、30)
【フリースタイルスキー・エアリアル】
水野剣(ノースランドク、27) 逸見佳代(ゼロ、26)
【スノーボード・アルペン】
鶴岡剣太郎(Sスタント、31) 竹内智香(小嶋アカデミー、22)
  家根谷依里(北海道東海大、21)
【スノーボード・ハーフパイプ】
国母和宏(北海道・登別大谷高、17) 今井メロ(ロシニョール・ディナスターク、18)
成田童夢(キスマーク、20) 山岡聡子(アネックスク、31)
中井孝治(アメリカン、21) 中島志保(ヨネックス、27)
  伏見知何子(UPスポーツ、31)
【スノーボード・クロス】
千村格(Sスタント、30) 藤森由香(JWSC、19)