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2006.02.10 更新

 

上村愛子、大技「3Dエア」決めて金メダルへ

「コークスクリュー720」

これが上村の「コークスクリュー720」。左下のジャンプ台から空中で720度回転。女子では4人しかできない大技だ=撮影・奈須稔


第20回冬季五輪トリノ大会が10日の開会式で開幕する。競技初日の11日に出陣するフリースタイルスキー・モーグル女子の上村愛子(26)=北野建設=は9日、会場練習を実施。エアの大技「コークスクリュー720」の完成度を高め、女王カリー・トロー(31)=ノルウエー=から最強ライバルに指名されるなど、金メダルへの視界が開けた。

(ペン・伊藤隆、片倉尚文、坂本万里雄=カメラ・尾崎修二、奈須稔、岡田亮二)

本番まで待ったなし。上村は、各国のライバルたちの視線を感じながらコースの感触を確かめた。「今までのオリンピックと違ってプレッシャーはない。かなりのんびりしている。今までやってきたことが自信になっているから」。優勝候補は、心技体ともに充実の度を加えている。

】第2エアで跳ぶために2年間かけて完成させた「コークスクリュー720」を3度試し、1度は少しバランスを崩したが、残りは成功。体の軸を斜めにして2回転する女子選手では世界で4人しかできない秘技を、自信を持って投入できるまでに精度を増した。競技会場のサウゼドルクスの人工雪コースにも不安はない。「人工雪はそんなに苦手じゃない」と言い切る。

】苦しんできた負傷も癒えた。12月のW杯開幕戦当日の練習中に転倒し腰を強打して第2戦まで欠場、1月のW杯遠征中にもひざを痛めて緊急帰国したが、順調に回復した。4日にトリノ入りしてからも電気治療を受け、「痛み? 忘れていた。もう大丈夫」と笑みを浮かべる。

】競技初日の重圧が不安だが、メンタル面では専属チーム「team−aiko」のサポートがある。選手村から近くのコテージに拠点を作り、母・圭子さん(53)の手料理を食べ、友人と雑談。“別宅”でリラックスしていることで、他選手よりも心の揺れが少ない。

上村愛子

公式練習に臨んだ上村。自信がみなぎる=撮影・奈須稔

絶好調の上村にライバルも“警報”を鳴らす。長野五輪銅、ソルトレークシティー五輪金メダル、W杯通算37勝の女王トローは「アイコはすごいジャンプをする。見ていても楽しい。要注意」と話した。最強のライバルも認める実力。あとは本番で発揮するだけだ。

「緊張するだろうけどオリンピックではみんな同じ。いい滑りをして、1日を終わらせたい」。日本が過去、冬季五輪で獲得した金メダルは通算8個。上村は今大会で金メダル数の上積みを期待できる数少ない選手だ。過去に出場した2度の五輪は7、6位にとどまり涙で終わったが、トリノでは笑いたい。モーグルのヒロインは、その時を待つ。

(伊藤隆)

★3大会連続メダルへ、里谷も上り調子

3大会連続のメダルを狙う里谷多英(フジテレビ)が調子を上げてきた。9日の会場練習は休んだが、8日の練習では課題のエア「フロントフリップ」(前方宙返り)に重点を置いて練習し、4回挑戦して3回成功。「完成度は予定通り。残り時間でどうにかする」と話す。W杯遠征中から腰痛を抱え、選手村で痛み止めの注射を打ちながら調整を続けているが、「着地のときでも痛みはないから大丈夫」と不安を打ち消した。

★世界のライバル

ソルトレーク五輪金メダルのトローや、W杯総合2連覇のジェニファー・ハイル(カナダ)が最強のライバル。このほかにも、世界選手権を制したハナ・カーニー(米国)やニコラ・スドバ(チェコ)らも強力だ。

■フリースタイルスキー・モーグル

急で深いコブの斜面で滑りの技術を評価するターン、2カ所のジャンプ台でのエア(空中技)、ゴールまでにかかる時間の3要素を採点し、合計ポイントによって争う。採点は30点満点で、ターンが全体の50%、エア、タイムが25%ずつの点数配分。予選、決勝ともに各1本の滑りで競い、決勝は16人で行う

■コークスクリュー720

体の向きを斜めにしながら空中で720度回転する技。上から見るとワインのコルクを抜く動きに似ていることから、こう呼ばれる。難易度が高く、長野五輪で里谷が金メダルを獲得した「コザック」が2.2点だが、こちらは成功すれば4点が与えられる