2006.12.14 更新
里谷、ケガでW杯1、2戦欠場も…五輪キップは一発勝負!
苦渋の決断で開幕2戦を欠場する里谷。“猶予”が与えられ、一発勝負にすべてをかける=撮影・奈須稔
【ティーニュ(フランス)13日=伊藤隆】来年2月のトリノ冬季五輪代表を目指す、フリースタイルスキー・モーグル女子の里谷多英(29)=フジテレビ=が、代表枠獲得を“一発勝負”にかけることが、わかった。14日から当地で行われる今季ワールドカップ(W杯)開幕戦を、けがのため欠場することを決断。さらに、第2戦(18日開幕、ドイツ)も欠場する。日本勢の今季の選考大会はこの2戦のみだったが、全日本スキー連盟(SAJ)関係者は急きょ、来年の第3戦も追加対象とする方針を明らかにし、里谷はその大会にすべてをかける。
◇
チャンスは1度しかない。4大会連続の五輪出場、3大会連続のメダル獲得の期待がかかる里谷が、退路のない窮地に追い込まれた。
この開幕戦を目指し、米コロラド州で調整を続けていた5日の練習中に木に激突。左肋軟骨を痛めてしまったのだ。エックス線検査の結果、骨に異常はないが、「出たかったけど、痛いのでしようがない。けがを治したほうが、あとあとちゃんと(試合に)出られる」。長野五輪で金、前回ソルトレークシティー五輪でも銅メダルを獲得した実力者は、フランス入りして最後まで様子をみたが、出場を断念した。
全治4〜5週間と診断されたことから、続く第2戦のドイツ・オーベルストドルフ大会(18日開幕)も欠場する。
2月のW杯苗場大会以来、約10カ月ぶりの復帰戦となるはずだった。SAJが定める今季の代表選考W杯は開幕戦、第2戦の2つ。3月に不祥事が発覚して以来、競技会に出場していない里谷にとって、この2戦で表彰台に立たなければ、トリノ五輪への道は開けなかった。
だが、里谷の欠場やW杯で上位を狙える選手がいることから、SAJの林辰男フリースタイル部長はこの日、「(第2戦後の)20日には(内定の)メドを立てたいと思っていたが、第3戦で上位にいく選手が出るかもしれない。そこまで(内定を)伸ばさないといけない」と、来年1月7日開幕のW杯第3戦カナダ・トレンブラント大会も選考対象に追加することを明らかにした。里谷はこの大会で最初で最後のチャンスにかけることになる。
まして里谷は、不祥事を理由に、10月にはSAJの強化指定選手を辞退。代表チームを外れ、個人資格でW杯に出場している立場。選考対象外の選手という扱いになっており、たとえW杯第3戦で表彰台に立っても、すぐに“内定”とはならず、SAJ理事会などの承認を経なければならない。トリノまでの道は平たんではないが、「ベストの滑りをして内定がもらえれば…。あせりはない」。開き直ったハートの強さを武器にする。
★上村笑顔で練習−開幕戦へ向け準備万全
すでにトリノ五輪代表に内定している、上村愛子の表情は明るい。会場コースで約2時間の公式練習を行い=写真、「ようやく始まる、という感じ」と笑顔。昨季から取り組んでいる3Dエア「コークスクリュー720」の精度をさらに高め、ターンも修正するなど準備は万全。「コブが硬くて難しいコースだけど、ちゃんと滑れば大丈夫。春までいい滑りを続けたい」。自信をもって今季開幕戦に臨む。
■トリノへの道
女子モーグルの五輪代表枠は最大で「4」。すでに3月のフリースタイル世界選手権で3位となった上村愛子(北野建設)が内定。選考方法は当初、強化指定選手が年内2つのW杯で、表彰台に立つか、入賞複数回以上だった。このほか、強化コーチによる推薦もある。残る枠を畑中みゆき(佐川急便スキーク)、伊藤みき(近江兄弟社高)らが争っている。

