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2005.12.26 更新

 

美姫、4回転はトリノで…女子の五輪代表決定

初出場となるミキティ

4回転は五輪の舞台で。初出場となるミキティが決意を持って、跳びます、跳びます=撮影・奈須稔

フィギュアスケート・全日本選手権最終日(25日、東京・代々木第1体育館)「3枠」をめぐる熱い女の戦いに、決着がついた。女子フリーで、3連覇を狙った安藤美姫(18)=中京大中京高3年=は合計173.36点で6位に終わったが、来年2月のトリノ冬季五輪代表選考ポイントで1位となり、初の代表となった。残る2枠は優勝した村主章枝(24)=avex、3位の荒川静香(23)=プリンスホテル=に決まった。

最後は気力しか残っていなかった。最初のコンビネーションジャンプでは尻もちをつきそうになったが、なんとかこらえた。世界の女子でただ1人、安藤だけが跳べる4回転サルコーにはトライせず、3回転にとどめた。“勇気ある撤退”。ギリギリの決断だった。

3連覇を狙った5度目の全日本選手権で過去最低の6位。演技中盤の3回転ルッツでは着地が乱れる不完全燃焼の演技。だが、五輪選考ポイントでは出場資格のない浅田真を除く日本女子トップの2215点。数字的には文句なしの代表初選出となった。

「うれし涙が出そうです。納得いく演技ができなかったので、(代表に選ばれる)自信はありませんでした。4回転は体調を考慮して、やめました」

過酷な1カ月間を走り抜け、着実にポイントを積み上げてきた。11月最終週のロシア杯から5週間で4試合を消化し、2、4、4、6位。NHK杯以降には右太ももを治療。今月のグランプリ(GP)ファイナル直前にはスケート靴の左足の刃で右足を打撲。得意のジャンプで転倒を繰り返しても、「いろいろありましたけど、言いたくありません」。言い訳はしなかった。

★フィギュア・全日本選手権最近10年の優勝者★
年度 男 子 女 子 
65 96 本田 武史 村主 章枝
66 97 田村 岳斗 荒川 静香
67 98 竹内 洋輔 荒川 静香
68 99 本田 武史 椎名 千里
69 00 本田 武史 村主 章枝
70 01 竹内 洋輔 村主 章枝
71 02 本田 武史 村主 章枝
72 03 田村 岳斗 安藤 美姫
73 04 本田 武史 安藤 美姫
74 05 高橋 大輔 村主 章枝

今季から米クリーブランドに拠点を移し、60年スコーバレー五輪女王キャロル・ヘイス・ジェンキンス・コーチに師事。4回転を跳べる男子を指導してきた名指導者は、どんなときにも笑顔で接し、多感な高校3年生にスケートの楽しさを思いださせた。

「昨年はリンクに行くのもいやな時があったし、試合の笑顔はつくり笑い。笑顔で練習したかったので、米国に行きました。もう自分にウソをつきたくなかった」

今季、何度も「跳ぶ」と宣言しながら、最後まで4回転サルコーを“封印”。4回転の成功は公式大会では2年以上もないままだ。それでも、年齢制限により五輪出場資格のない浅田真に敗れ、GPファイナル4位になった控室で涙を流した闘志は、健在だ。

3年前のジュニアGPファイナルで世界の女子で初の4回転を決め、ギネスブックにも載った際、「トリノの星」と形容された。その大会はもう目の前。「代表に決まったので、これから体も絞って4回転に挑戦したい。失敗してもいい。せっかくの夢舞台ですから」。トリノ五輪が“美姫スペシャル”を待っている。

(片倉尚文)

★村主、ノーミスで決めた

高速回転。最後は代名詞にもなっているアップライト・スピンで魅せた。村主は滑り終えると、両手を合わせて「神様」とつぶやいた。ほぼノーミスの演技でフリー1位。浅田真を破り、SP2位から逆転して3年ぶり5度目の優勝。観衆は総立ちで女王のトリノ行きをたたえた。

荒川(左)と村主(中央)が安藤とともに五輪代表に

「3枠」をめぐる女の戦いを勝ち抜いた荒川(左)と村主(中央)が安藤とともに五輪代表に。

「けがの痛みがなかなか抜けない時は、不安もあった。でも、お客さんの力でここまでこれた…」。五輪シーズンを意識して早めの無理な練習を重ね、9月に右股関節を痛めた。10月下旬のスケートカナダは8位に沈んだが、今月初旬のNHK杯では2位となって再浮上してきた。

「トリノに向けて、内容をもう一度整理します」。クライマックスでみせた、テーマに掲げる「希望の道」を進むストレートステップなど抜群の表現力を武器に、2大会連続の五輪代表。前回ソルトレークシティー五輪入賞(5位)のさらに上を目指す。

★荒川「自分の時代」頂点狙う

少々のミスをカバーできる表現力と技術があった。前世界女王の荒川静香は2度のジャンプ失敗があったが、3回転サルコー−3回転トーループの連続ジャンプを決め、3位で表彰台へ。16歳で出場した98年長野五輪以来、8年ぶりの五輪切符をつかんだ。

「やるはずだったスピンをやったかどうか忘れて、プログラム中にパニックを起こしちゃった」と苦笑い。GPシリーズ2戦で浅田真の後塵を拝した後、米国のタチアナ・タラソワ・コーチのもとを離れ、国内で調整してプログラムを修正した成果を出し切った。演技終盤には「試合では初めて」という何種類かのスピンを即興で入れる落ち着きと、器用さも持つ。

03年12月、今回と同じ全日本3位の3カ月後に世界選手権で金メダルを獲得した過去に合わせ、「若い世代の五輪を感じるけど、選ばれたからには、自分の時代と受け止める」。アマとして最後の大舞台で頂点を狙う。

頑張ったけど…

◆前回五輪代表の恩田美栄は4位で2大会連続出場を逃し

「五輪のことは二の次、三の次で、練習してきたことを試合に出せて、涙に変わりました。あとはおうちでゴロゴロしたい」

◆トリプルアクセルが2回転判定となった中野友加里は5位に終わる

「得点はジャッジの方が決めること。残念かもしれないけど、全日本でノーミスで滑れた満足感のほうが大きい」

【ドタバタしました】

注目を集めたフィギュアの代表選考はすんなりと決まった。日本スケート連盟がフィギュア代表選考で導入したポイントにそって、男子は1位の高橋、女子は1位の安藤、2位の村主、3位の荒川。「安藤の成績がよくないのでは」と意見もあったというが、小野長久フィギュア部長は「ポイント制を遵守した」と説明した。
 だが、試合によって出場選手の実力が異なるなどの問題点もあったため、今後再検討する余地はあるという。また、年齢制限で五輪出場資格がない浅田真に関して、日本連盟は国際スケート連盟に水面下で「特例出場」を働きかけてきたというが、認められなかったため断念した。今後GPシリーズ(14歳以上)と五輪、世界選手権の年齢制限を同一年齢にするよう働きかける意向を示した。最後には24日の男子フリーで採点ミスが起こり、1、2位の順位が変更。この日はチェック機能を高めるために1人増員して、再発防止に努めた。

★村主が世界選手権代表

日本スケート連盟は25日、フィギュアスケートの世界選手権(来年3月20〜26日・カナダ)の代表に女子の村主章枝(avex)らを選んだ。

▼男子 織田信成(関大)

▼女子 村主章枝(avex)、荒川静香(プリンスホテル)、中野友加里(早大)

▼アイスダンス 渡辺心、木戸章之組(新横浜プリンスク)

フィギュアスケート・女子五輪代表比較表
選手名 安藤美姫 荒川静香 村主章枝
生年月日 1987・12・18(18) 1981・12・29(23) 1980・12・31(24)
出身地 愛知・名古屋市 神奈川・鎌倉市 千葉・千葉市
所属 中京大中京高3年 プリンスホテル avex
サイズ 1メートル62、49キロ 1メートル66、50キロ 1メートル57、44キロ
スケート歴 8歳から 5歳から 6歳から
主な実績 04世界Jr.優勝
03・04全日本選手権優勝
98五輪13位
04世界選手権優勝
02五輪5位
03GPファイナル優勝
自己最高得点 172.30点 182.19点 182.08点
コーチ キャロル・ヘイス・ジェンキンス タチアナ・タラソワ 佐藤信夫
今季SP曲目 戦場のメリークリスマス パガニーニの主題による狂詩曲 トカ・オリラ
今季フリー曲目 マイ・ファニー・バレンタイン 幻想即興曲 ピアノ協奏曲2番(ラフマニノフ)
得意技 4回転サルコー イナ・バウアー アップライト・スピン



Sアメリカ
Sカナダ (8)132.00点
中国杯 (3)173.60点
フランス杯 (3)173.30点
ロシア杯 (2)172.30点
NHK杯 (4)154.34点 (2)158.48点
GPファイナル (4)157.30点
五輪選考ポイント 2215点 2060点 2150点
五輪代表獲得ライン 8位以上 2位以上 2位以上
五輪出場 初出場 2大会ぶり2度目 2大会連続2度目