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2005.12.18 更新

 

浅田真央が世界の頂点に!!五輪出場はダメ…

浅田真央

女王の貫禄?演技途中でガッツポーズも披露した浅田。この姿を五輪の舞台でも見たいのに…=撮影・尾崎修二

フィギュアスケートGPファイナル最終日(17日、国立代々木競技場)女子フリーで、年齢制限のため来年2月のトリノ冬季五輪出場資格がない浅田真央(15)=グランプリ東海ク=が合計189.62点の自己ベストを叩き出し、初出場優勝を飾った。日本女子選手のGPファイナル優勝は03年の村主章枝(24)=avex=以来2人目の快挙。国際スケート連盟(ISU)のオッタビオ・チンクアンタ会長(イタリア)はこの日、年齢規則の特例措置を適用しないことを明言したが、世界選手権女王イリー・スルツカヤ(26)=ロシア=に8.14点の大差をつけての優勝。五輪には出られなくても“世界一”の勲章がキラキラ輝く。

言葉はいらない。魅せて、魅せて、魅せた! 最後は連続の片手ビールマンスピンで締めくくった。拍手が鳴りやまない。1万人を超える会場の観衆が立ち上がって長い、長い拍手。15歳の妖精、浅田があどけない笑顔でこたえる。貴賓席に座ったISUのチンクアンタ会長も思わず手を叩いて、演技をたたえた。

前日のSPと合わせた合計点は189.62点。トリノ五輪で最も金メダルに近いスルツカヤを圧倒した。白とピンクの衣装にピンクの髪飾り。中学生の少女が、シニアデビューのその年に、世界の頂点に立ったのだ。

浅田真央

「ビックリと、うれしいのとで、いっぱいです。全部ジャンプが決まってうれしかったし、スルツカヤに勝てるなんて思ってもいなかったので、本当に驚いています。100点満点です!」

7種類のジャンプを完ぺきにこなすなど、珍しく演技途中にガッツポーズも飛び出した。ノーミスの演技を終えると、感極まって涙もキラリ。多感な表情が初々しい。そこには「天才」にしかわからない“第六感”が働いていた。演技直前、不安にかられて女子では世界初となる2度のトリプルアクセル(3回転半)挑戦を取りやめ、自ら山田満知子コーチ(62)に伝えた。「不安になったのでトリプルアクセルを1回にしました」。

午前の練習から失敗が多発したため、演技構成をあえて修正。楽曲「くるみ割り人形」に乗って終盤には流れるような3連続ジャンプで躍動した。撤退する勇気、そして冷静さも持ち、世界女王を倒した実力者が、五輪の舞台に立てないなんて……。

今回、米ABCテレビのコメンテーターとして取材に訪れた84年サラエボ五輪ペア銀メダルのピーター・カルザースさんは「年齢制限があっても、マオはしっかり自分のコントロールができる選手。十分に五輪出場に値する選手だと思います」と言い切った。

浅田真央

観客は総立ちで拍手の嵐。真央の笑顔は世界一の輝きだ=撮影・岡田亮二

日本スケート連盟は、ISUに対して嘆願書を提出して理事会にはかるなどのアクションは起こさないという。3月の世界選手権女子でカロリナ・コストナー(イタリア)が3位となった。母国開催の五輪でメダル候補のコストナーは同国選手団の旗手を務める。チンクアンタ会長もイタリア人。日本の関係者は「メダルを脅かす真央の特例を認めることはあり得ない」と実情を口にした。さらに、無垢な少女を政治的な争いの渦中に置きたくないという配慮。トリノ五輪だけを目指してきた選手への士気も考慮した決断だ。

優勝後、浅田は「(10年)バンクーバー五輪があるので、それに出られたらいいと思います」。けなげに笑顔をみせた。晴れ姿を4年後まで待つにはあまりに惜しいが、天才舞姫は決してめげない。「(今後は)きょうできなかったトリプルアクセルを2回入れるか、4回転ループを跳ぶことです」。“マオ・ワールド”で跳んで、跳んで、跳び続ける。

(片倉尚文)

★「個人としては見たいが…」−ISU会長、特例措置適用せずと明言

来日中の国際スケート連盟(ISU)のチンクアンタ会長は17日、東京・国立代々木競技場で会見を行い、フィギュアの年齢制限でトリノ五輪への出場資格がない15歳2カ月の浅田真央(グランプリ東海ク)に特例措置は適用しないと明言した。

同会長は「日本からの正式な働き掛けもなく、ルールはルール。9年前の総会で日本も賛成している。医学的見地で決めたもので技術的な見地で認めるものでない。現行のルールを尊重すべきだ」と、五輪までに規則改正を決議する総会を開く考えがないことを示した。同会長は「わたし個人としては五輪での浅田を見てみたいが、ISU会長としては別の話」とした。

◆特例は求めないとする日本スケート連盟・城田憲子フィギュア強化部長

「五輪のために育ててきた選手もいるのに、真央だけのために陳情することはできない。強化部長の立場では(五輪に)出してあげたいし、勝てると思うが、たった1人の女子選手のために総会を開いて“出すか、出さないか”というのはないと思う」

◆スケートの年齢制限

年齢の規定について五輪憲章では「各競技団体の規則に従う」と定めている。国際スケート連盟では子供の成長を妨げるような過度な練習や精神的な重圧をさけるため、医学的見地から96年にそれまでより1歳引き上げ、五輪出場には、開催前年の6月30日までに15歳になっていることを条件とした。90年9月25日生まれの浅田は87日、間に合わないことになる。

■フィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズ

95−96年シーズンに始まったアマチュア選手による賞金大会シリーズで、現在は全6戦で行う。日本のNHK杯のほか、米国、カナダなどの大会でシリーズを構成。さらにGP上位6人で争うファイナルも実施し、ISUでは世界一決定戦と位置づけ、五輪や世界選手権の前哨戦になっている。日本女子は02年ボフロスト杯で恩田美栄が初めてGP制覇。これまで恩田が2勝、村主章枝、荒川静香、浅田真央が1勝。03年のGPファイナルで村主が優勝した。15歳の浅田の優勝は、前身の「チャンピオンシリーズ」96−97シーズンを制したタラ・リピンスキー(米国)の14歳に次ぐ、史上2番目の若さだった。

フィギュアGPファイナル日本女子成績
優勝者(国籍/所属) 日本選手 成績
95 クワン(米国) 横谷花絵 5位
96 リピンスキー(米国)    
97 リピンスキー(米国)    
98 マリニナ(ウズベキスタン) 村主章枝 5位
99 スルツカヤ(ロシア)    
00 スルツカヤ(ロシア)    
01 スルツカヤ(ロシア) 恩田美栄 5位
02 コーエン(米国) 荒川静香 4位
      村主章枝 6位
03 村主章枝 村主章枝 優勝
    (新横浜プリンスク) 荒川静香 4位
      恩田美栄 6位
10 04 スルツカヤ(ロシア) 荒川静香 2位
      安藤美姫 4位
      恩田美栄 5位
11 05 浅田真央 浅田真央 優勝
    (グランプリ東海ク) 中野友加里 3位
      安藤美姫 4位