2006.02.26 更新
荒川「幸せです」夢だった五輪エキシビションで視線独占
金メダルの輝き。荒川のイナバウアーにも、さらに情感が漂った(撮影・尾崎修二)
静香はまだまだ、魅せます! フィギュアスケート・メダリストらによるエキシビションが、パラベラ競技場で行われた。日本フィギュア史上初めて五輪金メダリストになった女子の荒川静香(24)=プリンスホテル=が24日、男子王者エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)らとともに出演。ファンに「女王の舞い」を披露した。華麗なイナバウアーで再び会場を沸かせ、静香ワールドの余韻はまだ熱い。
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頂点に立った。「女王」の称号をえた、荒川にはすでに貫禄が匂い立つ。しっとりした情感。余裕の笑み。女性ボーカルが歌う「ユー・レイズ・ミー・アップ」の音楽に乗り、ビールマンスピンや3回転トーループなどを優雅に披露。スタンドには日の丸の旗も振られ、見せ場となる荒川の十八番、イナバウアー(上体を反らせて銀盤を横断する)では、大きな拍手がわき起こった。
金メダルを獲得した23日夜は取材などに追われて睡眠は1時間。この日も興奮でなかなか寝つけず、薬を服用して2時間だけ昼寝をして、エキシビションに臨んだ。「ジャンプのとき目が回ってしまいました。でも、五輪チャンピオンとして滑るからには、一番いいものを見てもらいたかったのでジャンプも入れた。五輪でエキシビションに出るのが目標だったので、幸せです」と改めて感激に浸った。
金メダルは常に携帯している。「選手村は物騒だし、私の宝物なので持ち歩いています」。
世界選手権(3月20〜26日、カルガリー)出場は帰国後に判断するという。「アマチュアで(最高の名誉の)金メダルを獲ったのだから満足。でも、これで(世界選手権で)何か狙わなきゃって力みもなくなるので、気持ちよく演技ができるかもしれないし…」と、出場を決めかねる。
プルシェンコも金の舞(AP)
また、政府はこの日までに荒川を表彰する方針を固めた。日本フィギュア初の五輪金メダル、アジア人選手として五輪フィギュアで頂点に立った偉業に、小泉純一郎首相をはじめとする閣僚たちはもとより、皇室からも絶賛の声が上がった。小泉首相は前日、荒川に国際電話をかけ、直接、祝福の言葉を贈った。宮内庁の林田英樹東宮太夫は定例記者会見で、皇太子ご夫妻と長女愛子さまがたいへん喜ばれたと話した。00年シドニー五輪女子マラソン金メダリスト高橋尚子(33)=ファイテン=に次ぐ、女子スポーツ選手2人目の国民栄誉賞への機運も盛り上がっているが、政府筋によると、春の褒章で「紫綬褒章」を授与することを軸に検討するという。
紫綬褒章は学術・芸術・スポーツ分野で功績があった人が対象。五輪出場者では柔道の谷亮子、競泳の北島康介、体操の鹿島丈博各選手らアテネ五輪の金メダリストが受章している。快挙をたたえる“静香フィーバー”は、まだまだ続く。
■エキシビション
フィギュアスケート競技会の翌日に行われ、競技会での上位入賞者と特別ゲストが「エキシビション・ナンバー」を披露するアイスショー。勝敗や特別なルールはなく、小道具の使用やバック転など、競技会では禁止されている技を行うことも許されている。
■金メダルVTR
SP3位の荒川は21番滑走。その直前にSP首位サーシャ・コーエン(米国)が演技した。冒頭の3連続ジャンプの最初の3回転ルッツで転倒、続く2連続ジャンプの最初の3回転フリップでステップ。ミスが響いて得点は伸びず、合計183・36点に終わった。
続く荒川は落ち着いていた。冒頭で2種類の2連続ジャンプ(3−3回転)を跳ぶ予定だったが、これを回避していずれも3−2回転で手堅くまとめた。ミスといえば3回転ループが2回転になったくらい。6種類のスピン、ステップ中、5種類で最高難度のレベル4を得る圧巻の演技で自己ベストの合計191・34点をマークして首位に立った。最終滑走となった世界女王、SP2位イリーナ・スルツカヤ(ロシア)は演技中盤の3回転ループで痛恨の転倒。荒川の逆転優勝が決まった。

