2007年03月26日 更新

東亜学園、鎮西を破り24年ぶりの優勝!

オレについてこい! 東亜学園の小沢主将(右)がチームをまとめ、引っ張った(撮影・山田俊介)

オレについてこい! 東亜学園の小沢主将(右)がチームをまとめ、引っ張った(撮影・山田俊介)

24年ぶりの歓喜のV。春高史上、最も長い期間を経て頂点をつかんだ(撮影・大西史朗)

24年ぶりの歓喜のV。春高史上、最も長い期間を経て頂点をつかんだ(撮影・大西史朗)

 第38回春の高校バレー最終日(25日、さいたまスーパーアリーナ)久しぶり! 男女決勝が行われ、男子は東亜学園(東京第1)が鎮西(熊本)に3−0でストレート勝ち。春高史上最長期間となる24年ぶり(2度目)の優勝を果たした。主将の小沢翔(2年)が、ベンチ入り12人中7人が1年生の若いチームをまとめあげた。

 頂点に立った勝者にだけ許される、至福のときがやってきた。夢にまでみたセンターコートで胴上げの始まりだ。小磯靖紀監督(46)が3度、宙を舞う。佐藤俊博コーチ(26)に続いて、主将の小沢が他のメンバー11人にかつぎあげられた。24年ぶりの優勝は、春高史上最長期間を経たメモリアルV。長い時を経て、東亜学園が復活した。

 「入学前から目標にしていた全国制覇ができて本当にうれしい。自分たちのバレーが最後までできました」

 主将として、言葉にも実感がこもる。勝負を決めた第3セット。12−9とリードした時点で、鎮西がタイムアウト。相手がリズムを変えようとしたとき、小沢が豪快なスパイクを決め、流れを守った。3セットの合計得点は、清水大嗣、星野秀知(ともに1年)に次ぐ12得点。要所で存在感をみせつけた。

 静岡・賀茂郡南伊豆町出身。南伊豆東中3年のとき、県の選抜選手となり、合宿で訪れた東亜学園の激しい練習をみて入学を決意した。全国を制するには強豪校へ。意識レベルは高く、両親のもとを離れて1人上京。高校に選手寮はなく、浪人生を対象にした近くの学生寮に住む。家賃は2食付きで5万円だが、広さは四畳一間。ベッドと机が置かれ、スペースはほとんどない。

 身のまわりの世話をするため、父・浩美さん(47)、母・なつみさん(44)は車で片道4時間をかけて、毎週末やってきてくれた。昨年10月に右腰にヘルニア、左腰に腰椎(ようつい)分離症を発症。全治7カ月と診断されたが、懸命のリハビリで2カ月で練習に復帰したガッツある男。

 この日、スタンドには両親の姿があった。毎日電話で励ましてくれた母は、「つらいときもあったが、よくやった」と息子の雄姿を見て涙声になった。

 もう1人の恩人は、小磯監督だ。練習復帰に、はやる気持ちが募る小沢に、「練習をやりたい気持ちはわかるが、それ以外のことを一生懸命やれ」と諭してくれた。この一言で気も楽になって、治療に専念することができた。決勝戦前の円陣では、「先生を日本一の監督にしよう」とコートへ飛び出した。

 前回の優勝時(83年)は、負傷者が続出するなかで大会を制覇し、「ミラクル東亜」の異名をとった。だが、今回は違う。小磯監督は自信をもって「これが実力です」と言い切った。人一倍頑張り屋の主将が支えたチームが、常勝軍団へと成長する。

(江坂勇始)

◆東亜学園・小磯靖紀監督

「決勝戦は今大会のベストゲーム。想像以上にうまくいった。(サイズが)大きくないチームなので、今後はプレーの精度を上げていきたい」

◆小沢翔(2年)

「監督、コーチを日本一にできてうれしい」

◆塩田茂勲(2年)

「優勝していままでの練習が報われた」

◆渋谷隆太(2年)

「24年ぶりの優勝ができてうれしい」

◆玉杵祥也(2年)

「チーム一丸で優勝することができた」

◆星野秀知(1年)

「目標だった日本一が達成できてうれしい」

◆清水大嗣(1年)

「卒業した3年生のためにも優勝したかった」

◆端場翔太(1年)

「先輩たちができなかった優勝を狙っていた」

◆山本悠登(1年)

「優勝は夢だったのでうれしい」

◆工藤将太朗(2年)

「スタメンもベンチも1つになれた」

◆金丸真司(1年)

「みんなのために優勝したかった」

◆新見由輝(1年)

「卒業した3年生の思いを背負って連覇したい」

◆山香紀彰(1年)

「優勝できてうれしい。夢を果たせた」

■恩師にささぐ

 小磯監督は「馬橋先生のおかげでここまでこれた…」。6年前、がんのため亡くなった前監督の馬橋洋治さん(享年56)に勝利をささげた。日体大卒業後、67年に東亜学園の監督に就任した馬橋さんは「ミラクル東亜」といわれた前回の優勝監督。小磯監督は、生まれ故郷の埼玉・東松山市に眠る馬橋さんの墓前に勝利を報告する。

■東亜学園

 大正12年創立の共学校。所在地は東京都中野区。野中浩二校長。全校生徒1200人。バレー部は昭和32年創部。現部員は21人。春高は3年連続23度目の出場。第14回大会で優勝。主なOBは細川延由(NEC)、白鳥勝浩(ビーチバレー)。

■データBOX

 東京勢男子の優勝は前回東亜学園が優勝した83年大会以来となる。直近の女子では05年大会で共栄学園が優勝している。東京男子の初優勝は69年の中大付、東亜学園の2度優勝を含め計3度優勝を飾っている。