2008年05月13日 更新

【大相撲】ひねり技魅せた!朝青龍が“巨漢”把瑠都ゴロ〜リ

一夜にして“別人”!? 朝青龍(右)が巨漢把瑠都を宙に浮かせるひねり技で快勝(撮影・千村安雄)

一夜にして“別人”!? 朝青龍(右)が巨漢把瑠都を宙に浮かせるひねり技で快勝(撮影・千村安雄)

 夏場所2日目(12日、東京・両国国技館)初日黒星の横綱朝青龍(27)は、平幕把瑠都(23)に下手ひねりを決めて連敗を免れた。横綱白鵬(23)は黒海(27)をもろ差しで寄り切って2連勝。大関陣では魁皇(35)が小結朝赤龍(26)に押し出されて1勝1敗となったが、ほかの3大関は2連勝。カド番の琴欧洲(25)は旭天鵬(33)を下手投げで退け、千代大海(32)は小結稀勢の里(21)を押し出し、琴光喜(32)は若ノ鵬(19)を寄り切った。(観衆=7500)

 大きな体を、宙に浮かせた。朝青龍が頭をつける体勢から右前まわしを引き、左から強烈な下手ひねり。1メートル97、175キロ。生涯で10度しか負けなかったといわれる「無類力士」雷電とほぼ同じ体のサイズを誇る把瑠都を持ち上げ、土俵に転がした。

 「上半身より下半身で相撲を取るつもりだった。相手が浮いた? 足がそろってくるので、そこを何とかしようと思った。(把瑠都は)胸を合わせたら、とんでもない力を出すから」

 初日の稀勢の里戦では、背中から土俵に落ちる惨敗を喫したが、24時間後の朝青龍には不安を一掃する笑顔があった。

 一夜にして怪力をよみがえらせた背景には、トレーナーの存在があった。前日の取り組み後、張りを訴えていた腰の治療を急いだ。170キロの稀勢の里に無理な小手投げを打ったために、腰に負担がかかった。千葉県内と都内で開業する井関光男トレーナー(55)に自宅まで来てもらい、左腰のズレを矯正された。ベッドも硬いものにかえて、腰部に力がみなぎった。横綱自身も「まるでゴールドハンドだよ」とたたえる。

 横綱昇進後、初日黒星発進は3度あるが、2度優勝を果たしている。 「きのうはきのうで、いいじゃないか」。精神的に敗戦を引きずらない朝青龍らしさを存分に発揮。「自分のペースで、腰が低い体勢でいけるね」。友人でもあるプロ野球巨人のクルーン投手が初観戦に訪れたなか、横綱としての面目も保ち、いっきに気分が盛り上がる。

(赤堀宏幸)

■下手ひねり

 決まり手82手の1つ。四つに組んだときに下手で相手のまわしを取ったほうへ相手をひねって倒したり、ひざを土俵につかせて倒す。相手の足が流れた瞬間を狙って、下手を強く下方へ引きながらひねるとうまくきまる。よほど力が強くなければ下手ひねりだけではきまらず、上手投げとの合わせ技になることが多い

★参りました!

●…把瑠都

「ビックリした。あんなのやられたことないよ。でも、横綱とやれたのはちょっとうれしかった」

★白鵬、難なく2勝「元気はつらつ」

 白鵬が危なげない取り口で白星を2つ並べた。「とにかく流れのある相撲を心掛けている。いいんじゃないですか」と穏やかな笑顔。左を差して前進すると右もねじ込み、もろ差しからの盤石の寄りで黒海を相手にしなかった=写真。「自分からいい形になろうと思い、圧力をかけていた」と自画自賛。

 先場所と違い、場所が始まっても毎朝、けいこ場に姿を現し、しこやてっぽうなどで汗を流す。モンゴルから来日中のおいに相撲を教える目的もあり、気力も充実。帰りの通路では、以前出演していたテレビCMの文句を引き合いに出し「『元気はつらつ』でいこうかな」と舌も滑らか。

★32歳・高見盛、最悪のバースデー

 32歳の誕生日を迎えた高見盛は完敗。白星で自らを祝うことができず、「今年最低だ。もう最悪」と怒り顔。相手の早い立ち合いに対し、「待ったと言ったつもりなんだけど…。まあ、オレが悪い」と潔い。誕生祝いは「場所中だからそんな暇とか余裕はない。1人でケーキでも食べる」と連敗スタートだけに無関心を装うが、報道陣から「32歳よりも若く見えます」と振られると、「人によっては老けてると言われるけどなあ」と、笑顔が戻った。

○…7場所ぶりの対戦となった旭天鵬を下した琴欧洲

「きのうのことみたいなのに時間がたつのは速い。そう考えると(あっという間に)おっさんだな」

○…琴光喜は19歳の若ノ鵬に快勝し2連勝

「最高の相撲だった。前に出られているし、いい流れで取れている」

○…貴乃花部屋にとって4年ぶりの新弟子、東序ノ口43枚目の貴天秀が岩渕を寄り切って初勝利。春場所の前相撲では全敗で三番出世だった

「うれしいです。本当は突っ張っていきたかったけど…」

●…黒海は白鵬に完敗

「差しにいったのが間違いだった。左からおっつけておけばよかったけど、差されてしまった」

【名言・迷言】

●…初日白星も豊ノ島に寄り倒された安美錦

「すべて後手、後手。こういう日は帰ってとっとと寝る。ごきげんよう」

【記録メモ】

▼通算1100回出場
 豊桜が記録。現役9位。同1位は魁皇の1470回。

★41歳・栃天晃○発進!史上1位158場所目

 元十両で現役最年長の41歳、東幕下59枚目の栃天晃(春日野部屋)が大潮(現式秀親方)を抜いて史上1位となる通算158場所目の最初の相撲を白星で飾った。18歳の高安(鳴戸部屋)を簡単にはたき込み。23歳も年下の相手に経験の違いを見せつけたが、「いくつになっても最初の相撲は緊張する。常に挑戦する気持ちは忘れずにいたい」。身長1メートル78、145キロの大ベテランは「気持ちだけは切らさないように」と元気いっぱいだ。


■そのとき

クルーン プロ野球巨人の守護神、クルーン投手がこの日、両国国技館を訪れ、朝青龍を応援した。移動日の出発前の時間を利用したもので、「彼(朝青龍)とは友達。初めて見るけど、勝つと信じている。相撲の気合と、一瞬の間にとっても興味がある」。マス席から足を投げ出しながら観戦し、大きな拍手を送っていた。