2008年05月12日 更新
【大相撲】また稀勢の里!朝青龍、押し倒されて黒星発進

稀勢の里(上)が初場所2日目に続き朝青龍を破った。日本人力士期待の星は、着実に力をつけている(撮影・今井正人)

稀勢の里の右手には、わしづかみにした懸賞の束が…。初日の一番では史上最多となる38本!
夏場所初日(11日、東京・両国国技館)2連覇で23度目の優勝を狙う横綱朝青龍(27)が、小結稀勢の里(21)に押し倒される波乱の幕開けだ。2場所ぶり7度目の賜杯を目指す横綱白鵬(23)は、はたき込みで小結朝赤龍(26)を退けた。大関陣は安泰。2度目のカド番となった琴欧洲(25)は若ノ鵬(19)を寄り切り、千代大海(32)、魁皇(35)、琴光喜(32)の3大関も快勝した。出場した大関陣がそろって初日に勝ったのは昨年の夏場所以来で1年ぶり。(観衆=1万1000)
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後ろ姿に屈辱のあとが残る。押し倒された朝青龍の背中には、土俵の砂がべっとりとついた。白鵬と4大関が安泰で迎えた結びの一番で、よもやの黒星。初日から座布団が乱れ飛ぶ。支度部屋に引き揚げた横綱は、15分以上も風呂から出てこなかった。
「立ち合いが中途半端だった。負け方がよくない。すぐ、勝負にこだわるのがよくなかったね。あんなこと(倒れたこと)なかったけど…」。無残な敗戦に首をかしげながら、歯切れも悪かった。
立ち合いでの右の張り手は不発。左を差されたところを強引に小手に振って、墓穴を掘った。しばらく土俵に座り込み、思わず舌をぺろりと出した。「自分のやったこと(小手投げ)が失敗しただけだよ」と、“自滅”を口にした。
優勝した3月の春場所13日目の琴光喜戦で敗れた際に、左足ふくらはぎを痛め、肉離れと診断された。治療のためモンゴルへ帰り、再来日後の調整は順調に見えた。だが、テーピングをしなければ相撲を取れず、大型力士への対応には不安を抱えていた。
場所前には「武蔵川部屋に出げいこし、雅山関(1メートル88、183キロ)と当たりたい。胸の中に入って、いろいろとね」と希望し、把瑠都、若ノ鵬らへの対策を練っておきたかったが、負傷を抱え実現できなかった。
不安が的中するかのように、170キロと“大型化”した稀勢の里に馬力負け。腰の張りも訴えていたが、「大丈夫。これからハリ(治療)に行くよ」。横綱昇進後、初日黒星は過去3度あり、2度優勝。出遅れは、取り戻せる。
(赤堀宏幸)
★稀勢の里38本懸賞金ゲット
激しくにらんで殺気を漂わせる朝青龍を前にしても、稀勢の里は全く動じなかった。「あまり気負い過ぎず、本当に気持ちは落ち着いていました」とホオを紅潮させた。
右で張った朝青龍の立ち合いにもひるまず、すぐに右で前まわしを引いた。いっきの出足で横綱の下半身を崩し、押し倒した。「思い切っていくしかなかった。必死でした」。初日の一番では史上最多となる38本の懸賞(力士の収入分、209万円)をわしづかみにし、分厚い胸を張った。復帰後の朝青龍には、初場所2日目に続いて勝利し、これで2勝1敗。日本人力士の一番星が、飛躍する場所がやってきた。
■朝青龍、復帰後の初日
★初場所(1月13日、〇上手投げ 琴奨菊) 2場所出場停止処分が明け、175日ぶりの土俵に立った朝青龍。相手の寄りに一瞬下がったが、もろ差しで逆襲。右を巻き替えた相手を上手からの投げで転がした
★春場所(3月9日、〇寄り切り 稀勢の里) 4場所ぶりの優勝を狙い、初場所で敗れた稀勢の里と対戦。右の張り手から、すぐにもろ差しを果たし、いっきに出て、2秒9の速攻できめた
★白鵬、余裕の白星 朝青龍の心境解説
白鵬は朝赤龍に突き、押しで距離を取ってからタイミングよくはたいた。「いい立ち合いをして自然とそういう形になった」。結びでは2場所続けて千秋楽相星決戦で争った朝青龍が敗れる波乱。「勝ったと思ったんじゃないかな」と、逆転の小手投げが不発に終わった横綱の心境を余裕で解説? 先場所、朝青龍に優勝を許し、昨年9月の秋場所以来の西に回った。「早く東に戻らなきゃ」と、まな娘ユンレンツォー愛美羽(あみう)ちゃんの1歳の誕生日を1日遅れで祝い、横綱昇進後3勝2敗だった苦手の初日を乗り切った。
◆高見盛は31歳最後の土俵で敗れ
「相手はしぶとかった。(きょう)12日は誕生日だけど、そうだろうがなかろうが、勝ちたい気持ちには変わりない」
【名言迷言】
◆栃煌山を寄り切った豊ノ島。春場所から4キロ減量して初日を迎え
「テレビで(解説者の)北の富士さんから太ったと言われ、それを見た周囲の人からも太ったと言われたので、気持ち絞りました」
★第35代木村庄之助デビュー
大相撲行司の最高位、第35代木村庄之助(61)=本名・内田順一=が夏場所初日の結びの一番を裁いた。3月の日本相撲協会理事会で庄之助昇進が決まっていた。

★握手会に九重親方、盛況「ありがたい」
新企画の親方による握手会が始まり、初日は発案者の九重広報部長(元横綱千代の富士)が応じた=写真。整理券を手にした先着100人と握手してサイン色紙を渡し、「たくさん集まってくれた。ありがたいこと」と目を細めた。1番で握手した橋本貴子さん(23)=茨城・笠間市、会社員=は「初めて観戦し、感激した。これからも続けてほしい」と大事そうに色紙を抱えた。現役時代に人気を博した親方によって千秋楽まで連日実施され、2日目は高砂親方(元大関朝潮)が登場する。
◆昨季の全国高校ラグビー選手権(花園)でベスト8に進出した尾道高(広島)ラグビー部出身の福留(八角部屋)がデビュー。寄り切られて黒星発進
「緊張しました。踏み込めなくて、受けてしまった」
■記録メモ
▼通算900勝 魁皇が記録。現役1位で、史上4位。同1位は千代の富士の1045勝▼通算1300回出場 北桜が記録。現役2位。同1位は魁皇の1469回▼通算600回出場 朝赤龍が記録▼通算500回出場 安馬が記録
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◆175キロの把瑠都を寄り切った魁皇は通算900勝を達成
「あまり気にしてないし、相撲を取る限り、相撲を取る。それにしても重かったなぁ…」