2008年05月11日 更新

【陸上】日本勢、五輪へ黄信号…中国に惨敗 国際グランプリ

中国勢に圧倒された日本選手。日本短距離のエース末続(手前)も中国選手に敗れて2位。後方は朝原(撮影・奈須稔)

中国勢に圧倒された日本選手。日本短距離のエース末続(手前)も中国選手に敗れて2位。後方は朝原(撮影・奈須稔)

 陸上国際グランプリ(10日、長居陸上競技場)日本勢、大丈夫!? 北京五輪代表選考会を兼ねた大会で、中国人選手が出場した種目で、日本勢は5勝8敗と惨敗を喫した。参加標準記録Aを出したのは男子400メートル障害の成迫健児(23)=ミズノ=ただ1人。男子100メートルなど東アジアで優位にあったトラック種目でも「チャイニーズパワー」に圧倒された。北京五輪まであと3カ月。ガンバレ、ニッポン!!

 中国・胡錦濤国家主席が訪れた大阪で、日本選手が「チャイニーズパワー」に圧倒された。男子100メートル。優勝したのは、中国でも無名の胡凱。今季初戦に臨んだ日本のエース末続慎吾(27)=ミズノ=は100分の1秒差の10秒55で2位に敗れた。

 「勝負ごとだから1番を狙っていたが、僅差で負けた。これをもぎ取らないと五輪でも勝てない」。会見の席上、努めて明るく振る舞った末続だが、その横で胡凱は不敵な笑みを浮かべ、「中国は短距離の力もつけてきた。日本人より実力はある」と言い切った。これまでは男子短距離種目で日本勢が中国勢に屈することは少なかったが、北京五輪を目前に勢力図は変わりつつある。

 観客席には、降雨とともに中国パワーが来襲した。華僑や中国人留学生が数多く詰めかけ、「頑張れ」を意味する「加油!」が会場に響きわたった。中国メディアもテレビ2局と国営新華社通信を含む新聞4社から約30人が押し寄せ、男子110メートル障害世界記録保持者、劉翔の勝利会見では露骨に拍手を送った。

 前日に胡錦濤国家主席が来阪。男子400メートルでも劉孝生が45秒90をたたき出すなど中国勢が7種目で優勝を果たし、8種目で日本勢より上位を占めた。厳しい現実を突きつけられた日本陸連・高野進強化委員長兼北京五輪監督も「(国が)力を入れている成果だろう。短距離は日本が中国に絶対的にリードしていると思っていたが…」と、危機感を募らせた。

 本番の舞台は、この日以上に完全アウェー状態になることは必至。末続は、「体は整っているけど、まだガソリンが搭載されていない。五輪で最高のパフォーマンスを出せばいい。本当の勝負はもっと先です」と前を見据える。いまは、この言葉を信じるしかない…。

(山田貴史)

★福島、日本勢トップの3位 女子100

 女子100メートルで福島千里(北海道ハイテクAC)=写真=が日本勢トップの3位に入った。先月末の織田記念で11秒36の日本タイ記録を出した勢いを雨の長居でもアピールしたが、「(外国選手には)中盤にかけて離された後、また置いていかれそうな感じだった」と控えめ。この日は400メートル継でも日本の1位に貢献。「北京五輪はまずリレーで狙う。今月末の五輪テスト大会(北京)で結果を出したい」とニッコリ。

★成迫、快走「積極的に」

 男子400メートル障害は、成迫が49秒00をたたき出し、五輪参加標準記録A(49秒20)を突破する快走をみせた。「どんな状況でも前半から積極的にいこうと思った」。前日練習で左足かかとを痛めて欠場も考えたほどだが、「雨の中で応援してくれる人もいる」。その首には“恋人”から贈られたネックレスが光っていた。

★イケクミ、60%でV 女子走り幅跳び

 女子走り幅跳びは、日本記録保持者・池田久美子(スズキ)が6メートル46で優勝。午後3時の時点で気温12.5度の寒さのなか、ホットパンツ姿で跳躍したイケクミは、「全体的にはまだ60%。1試合1試合やるべき課題がある。今は冷静にその課題をクリアしていきたい」と落ち着いて分析した。

◆35歳の朝原宣治(大阪ガス)は男子100メートルで8位

「周囲には絶好調宣言をしていた。30メートルを過ぎてあれっ、という感じで力が全然出なかった。風邪を治そうと寝込んだことで調子の波が合わなかった」


■北京への道

 トラックとフィールド種目の北京五輪代表枠は最大3。参加標準記録AまたはBを突破し、日本選手権(6月26〜29日、川崎市等々力競技場)で3位以内に入ることが条件となる。A標準突破選手は複数選出が可能だが、B標準は最大でも1人。