2008年05月06日 更新

【シンクロ】井村HCが痛烈ダメ出し「世界は戦車、日本は竹やり」

チームのFRを貫禄で制した日本代表〔上〕だが、井村HCはその戦力を「竹やり」と酷評した(撮影・奈須稔)

チームのFRを貫禄で制した日本代表〔上〕だが、井村HCはその戦力を「竹やり」と酷評した(撮影・奈須稔)

 シンクロナイズドスイミング・日本選手権最終日(5日、東京辰巳国際水泳場)相手にならない!? 五輪種目、チームのフリールーティン(FR)決勝は日本代表が96.750点で3連覇を果たした。デュエットFR決勝も日本代表の原田早穂(25)、鈴木絵美子(26)組が96.667点で優勝。北京五輪に向けて順当な結果となったが、中国の代表チームを率いる井村雅代ヘッドコーチ(57)は、日本は危機的な状況にある−と痛烈に“口撃”した。

 激辛エールを超えていた。日本のライバルに成長し、北京五輪でメダルを争う中国代表の井村ヘッドコーチ(HC)が、母国の強化方針を一刀両断した。

 「非常に厳しい。(チーム、デュエットは)日本のメダル種目だったが、こんな進め方でいいのかと思う。本当に世界と戦えるのか。危険信号が出ている」。アテネ五輪まで日本代表を指導していた同HCだが、容赦はなかった。

 自身が主宰する井村シンクロクラブを指導するため、今大会に参加した。世界に比べて身長の低い日本人選手を見て、「失礼だが、戦車に竹やりで立ち向かうようなもの」とバッサリ。これには日本代表9人も、耳が痛い。平均身長が1メートル64の日本代表に比べ、中国代表の平均身長は1メートル72。国が長期計画を立て好素材を集め、見栄えする演技をアピールする。

 4月の北京五輪最終予選のデュエットは、1メートル74の中国の双子ペアに敗れた。井村HCは中国代表を指揮する動機を、「日本がダメになると思い、外の世界を見たかった」とも口にしていた。

 日本が目指す7大会連続のメダル獲得に向け、大きなカベとなる中国。井村HCの人脈もあり、日本代表の情報を入手するネットワークもある。

 この“ねじれ現象”に日本水連の立場も複雑だ。林利博会長は「(井村HCの)言っていることは間違いではない。だが、結果として人に迷惑をかける」。

 井村HCはこの日、北京五輪後の続投を中国から要請されたことを明らかにし、「五輪までしか考えていない。先のことを考えたら何もできない」と、継続するつもりはないという。井村HCの“口撃”は母国を心配するアドバイスととらえ、中国を倒しにいく。

(浅井武)

★鈴木「がけから落ちている状態」

 デュエットの演技を終えた鈴木は、厳しい表情を浮かべた。「今はがけっぷちというより、がけから落ちている状態」と、現状を表現した。演技中の2人の距離や同調性に課題が残り、「このままでは私たちの手で(メダルを)無くしてしまう」と危機感を持つ。台頭著しい中国を意識する、金子シンクロ委員長は「今からが正念場。審判員の心に届くよう

★原田は外から反省

 ソロ、デュエットに出場する原田は、チームの出場を回避。予選よりも勢いに乗った日本の演技に「外から見て、いい勉強になった。パワーを失わず、私たちらしさを出さなければ…」と北京五輪へ向けて、気持ちを引き締めた。また、小川コーチは「スピード感と高さを鍛え直す。完遂度を上げて満点を目指す」と強気。残り3カ月間で体をつくり直し、演技内容を修正して本番に臨む。


■井村氏の離脱

 06年12月のドーハ・アジア大会で、日本が国際主要大会で初めて中国に敗れた直後の同11日、井村雅代前日本代表ヘッドコーチが、中国のヘッドコーチに就任することが判明した。井村氏は「(北京五輪)開催国のオファーを受けることで、日本のコーチングの国際的地位が上がる」と説明した。だが、金子正子シンクロ委員長は、「井村シンクロクラブ」に所属する教え子が代表に選出されている井村氏の「移籍」に対して、「時期と相手がある」と激しい怒りをみせた

■シンクロ日本Vs中国

 日本は06年12月のドーハ・アジア大会で、中国に国際主要大会で初の敗戦を喫した。井村氏の中国コーチ就任後の初対決となった、昨年3月の世界選手権では、五輪実施種目ですべて4位だった中国に対し、日本は7種目でメダル6個(銀2、銅4)を獲得して中国に完勝。ところが、北京五輪に向けて曲目を変更した、4月の北京五輪最終予選・デュエットでは、日本はオープン参加の中国ペアを下回る得点で、2位に終わった。

 ▼ソロ決勝 (1)原田早穂(ミキハウス)96.334点(テクニカルルーティン48.000、フリールーティン48.334)(2)足立(東京シンクロク)89.584点(43.834、45.750)(3)小西(井村シンクロク)89.250点(45.000、44.250)※原田は2年連続2度目の優勝▼チーム決勝 (1)日本(鈴木、川嶋、松村、橘、小林、青木、小村、石黒)96.750点(テクニカルルーティン48.250、フリールーティン48.500)(2)井村シンクロクA90.334点(44.500、45.834)(3)中国90.250点(44.000、46.250)※日本は3年連続8度目の優勝▼デュエット決勝 (1)鈴木絵美子、原田早穂(ミキハウス)96.667点(テクニカルルーティン48.250、フリールーティン48.417)(2)木村紗、木村真(ザ・クラブピア88)90.167点(44.250、45.917)(3)ノッブス、ウィルソン(カナダ)89.084点(43.917、45.167)※鈴木、原田組は4年連続4度目の優勝