2008年05月03日 更新
【大相撲】協会理事会、外部役員起用を決定…力士急死から一年

外部役員の起用を決めた日本相撲協会の臨時理事会。左端は北の湖理事長(撮影・今井正人)
日本相撲協会(北の湖理事長=元横綱)は2日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、外部から役員を起用することを決めた。昨年6月に時津風部屋で起きた序ノ口力士死亡事件を受け、文部科学省の松浪健四郎副大臣(61)が組織の透明性を求めて外部役員の起用を要望していた。外部役員は昭和初期に例があるが、理事、監事が立候補制となった昭和43年2月以降では初めて。
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1時間をかけて行われ理事会後、九重広報部長(元横綱千代の富士)が「外部役員を入れることが決まった」と切り出した。導入の理由は「開かれた相撲協会にしなくてはいけない」と説明。ただ、役員が理事になるのか監事なのか、導入時期も人数も未定とし、「人選は一番大事なこと」と話しただけでこの件についての会見を終えた。
外部役員の起用は、前々回、前回の理事会で「前向きに検討」としていたものの、遅々として進行していないと思われていた。ある関係者によれば、外部役員は理事ではなく、議決権のない非常勤の監事として3人が予定されている。人選は学識経験者らで構成される相撲協会の運営審議会を中心に進め、現在、親方3人が務める監事は名称を変更するという。
閉鎖的とも批判されてきた相撲協会が門戸を開く背景には、死亡事件の発生で大きな批判を受けたことだけでなく、今年中に始まる公益法人改革がある。財団法人である相撲協会は、朝青龍騒動などの問題も相次いでいることもあり、税制面で優遇される公益法人としての資質を問われている。監督官庁である文科省の目を意識せざるをえない状況だ。
「相撲に理解のない人(の役員起用)は無理。そう簡単に答えを出せる問題ではない」といい続けてきた北の湖理事長も「何と言っても法人のことがあるから…。しっかりした姿勢を示さないといけない」と、ついに決断した。ただ、外部役員の起用には『寄附行為』の改定が必要で、人選についても慎重にならざるを得ず、まだまだ導入まで時間を要し、多くの問題も残されている。
★事件性のある力士死亡なし
日本相撲協会の医務委員会が、平成2年以降に起きた現役力士死亡の10件について死因を検証し、昨年6月に兄弟子らの暴行で死亡した疑いのある時津風部屋の序ノ口力士死亡事件に類すると判断される事例はなかったと結論づけた。2日の臨時理事会で報告された。
医務委員会は死亡した力士の師匠ら関係者から聞き取り調査を行い、生前の健康面のデータを洗い直したという。相撲協会は監督官庁である文部科学省に対し、力士死亡事件の検証や再発防止への取り組みに関する報告書を提出する予定。
★再発防止案を理事会で承認、力士の心と体の悩み相談も
日本相撲協会は2日の臨時理事会で、時津風部屋の力士死亡事件をきっかけに発足した「再発防止検討委員会」からの提案を承認した。
内容は(1)部屋持ち親方が集まる師匠会に年2回程度、医学や栄養学などの専門家を招いて講演会を実施(2)力士らの心と体の悩みの相談を相撲診療所などで受け入れる(3)入門の際に新弟子本人の意思確認書を提出する(4)力士としての常識や道徳を、分かりやすいようにイラストや写真で説明した基本マニュアル本の作成−となっている。再発防止委は来年1月まで現在のメンバーで存続。同2月からは名称を「生活指導部特別委員会」とし、一門代表の親方や外部有識者(5人以内)の変更も視野に入れて活動、相撲協会の生活上の相談窓口としての役割も担う。
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◆理事会決定を聞いた松浪健四郎文科副大臣
「日本相撲協会から戦後最大の改革を断行するという報告があった。機関決定を歓迎する。ひとりの死をムダにしないで、文科省のアドバイスを受け、少し時間がかかったが、動いたことがよかった。夏までにはメドがつくと思うし、大変な決断をしたが、今後も愛される協会であるよう見守っていきたい。人選は協会にお任せで、言う立場にないが、相撲文化を高める人がいい」