2008年05月02日 更新

【大相撲】元ホスト力士誕生へ!山下智徳、第2検査をパス

山下が第2検査をパス。内臓検査の結果を待って、元ホスト力士が誕生する(撮影・伊藤隆)

山下が第2検査をパス。内臓検査の結果を待って、元ホスト力士が誕生する(撮影・伊藤隆)

朝青龍(右)から直接指導を受ける、恵まれた環境もある

朝青龍(右)から直接指導を受ける、恵まれた環境もある

 大相撲史上初の元ホスト力士が誕生する!? 夏場所(11日初日、両国国技館)の新弟子検査が1日、東京・両国国技館で行われ、元ホストの山下智徳(20)=高砂部屋=ら7人が受検した。身長1メートル73以上、体重75キロ以上の体格基準を満たさない山下は、第2検査の体格基準(1メートル67、67キロ以上)と運動能力テストをパス。内臓検査の結果を待って、夏場所初日に合格者が発表される。

 元ホストらしい、甘い笑みが浮かぶ。放駒審判部長(元大関魁傑)らが見守るなか、異色の新弟子、山下が不安そうな表情で体重計に乗った。「68キロ」−。体格基準を満たさない第2検査の受検条件とされる67キロをギリギリでクリアした。

 「体重をはかる前は不安だったので、たくさん水を飲んだ。クリアしてよかったです」

 身長(1メートル81)は問題がなく、体重が唯一の不安材料だった。最大の関門を突破すると、運動能力テストでは握力、背筋力、反復横跳び、50メートル走など各項目で基準を満たし、運動テストをパスした。

 大阪・ミナミのネオン街をかっ歩した男の挑戦だ。高校を2年で中退し、運送業などを経てキャバクラのボーイや「時給1000円で2カ月間だけホストをやった」。2月までは、明け方まで働く生活を続けていた。

 相撲界には、夢を求めてさまざまな職種から入門希望者が門をたたく。過去には、板井(元小結)が会社員、玉垣親方(元小結智乃花)は高校教師、現役では豊真将が建設業、豊響が造船所アルバイト、トラック運転手から相撲界へ入ったが、ホスト経験者は前例がないという。

 2月末、桂文珍の弟子にあたる父で落語家の桂楽珍(46)とともに、高砂部屋でけいこを見学。「厳しい世界で自分を鍛え直したい」と入門を直訴し、部屋の松田哲博マネジャー(元三段目一ノ矢)が父の高校の先輩という縁もあり、希望通り入門が認められた。

 相撲経験はなく、スポーツ歴は中学時代のサッカーだけ。入門時は体重が58キロで、第2検査を受検するのも厳しい状況だったが、一食にどんぶり3杯のご飯、ちゃんこを食べ続け、2カ月で10キロの増量に成功。自身も相撲を始めた当初は体重が75キロだったという部屋頭の横綱朝青龍から「牛乳を飲めよ。飲めば太るオレも細かったんだから」と、励ましてもらった。

 「目標はとくにない。番付でいけるところまで、いきたい」。飛び込んだ世界は、前職とは対照的な勝負の世界。水商売で果たせなかった夢を、土俵で探す。

(伊藤隆)

■山下 智徳(やました・とものり)

 1987(昭和62)年10月2日、大阪・吹田市生まれ、20歳。大阪・生野工高を2年で中退し、飲食店、運送業などを経て、ホストを経験。家族は両親と姉。

■第2検査

 通称「新弟子検査」。力士を志望する者が、「日本相撲協会寄附行為施行細則」の規定にしたがって受ける検査。第2検査は、体格基準に達していない者で、身長1メートル67以上、体重67キロ以上の者を対象に、優れた運動能力を持ち、力士としての適正を有すると思われる者については、師匠の推薦に基づき、基礎体力、運動能力などの検査を実施し、一定の基準以上の者を採用する